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 2.部門・センターの将来構想

2.10 巨大災害研究センター


1.部門・センターの目的
 社会が高度化、複雑化していく中で、災害が自然外力によって発生しても、被害の時空間的な拡大過程、被害の大きさやその多様性は、社会現象として特徴づけられるようになっている。そこで、自然科学と社会科学を融合した立場から、総合的な減災システムを構築することが必要である。

2.部門・センターの目的の変更必要性の理由と新たな目的
(理由)
 巨大災害は、人的な被害や直接被害額が大きいものを意味するという古典的な定義のみでは対応できなくなってきた。被害の内容が経済被害や被災者の精神的な被害など、多様化する中で、被害を総合的に評価し、被害を軽減する必要が発生してきた。
(変更後の目的)
 社会が高度化、複雑化していく中で、災害が自然外力によって発生しても、被害の時空間的な拡大過程、被害の大きさやその多様性は、社会現象として特徴づけられるようになっている。そこで、自然科学と社会科学を融合した立場から、総合的な被害の評価方法を開発するとともに、減災システムを構築することが必要である。

3.部門・センターの現在の研究活動に即した目標と達成したい成果等、および、5年程度の中期目標とそれ以上の期間の長期目標
(5年程度の中期目標)
 時代とともに災害が自然災害と社会災害の両方の特徴を有するようになってきている。このように災害の発生やその被災様相の特徴が変わりつつあることを踏まえ、有効な減災対策を提案する。さらに、阪神・淡路大震災からの復興過程の定量化を図り、被害からの円滑な復興のための施策を提案する。

(10年程度の長期目標)
 防災関係機関、たとえば、人と防災未来センター、アジア防災センター、国連人道問題神戸ユニットなどとの連携やネットワーク化によって、防災研究の世界的なバーチャルな拠点づくりを完成させ、有効な総合減災システムを構築する。

4.部門・センターの目標を達成する上で、現在の分野・領域構成は適切かどうか。変更する場合の理由と構成  領域構成の充実を図る必要がある。なぜなら、災害による被害の出方が、種々の原因によって重層的になりつつあり、被害発生のメカニズムや構造が複雑化の一途を辿っているからである。それに対する有効な対策を立てるには、これまでの研究枠組みの中での研究だけでは不十分であることがはっきりしてきている。

 そこで、必要な研究領域は、災害認知(被害の出方を理解する)、比較防災学(複合災害対策を構築する)、防災政策科学(意思決定過程と情報公開のルール化を図る)研究領域などを新設し、総合的減災システムを構築する。

5.部門・センターの目標を達成する上で、現構成メンバーの専門分野でカバー可能か。不可能な場合に新たに必要な専門分野
 カバーできないので、とくに政策科学、計量経済学、社会心理学、人間行動学などの分野からの人材供給が必須である。

6.部門・センター内での大講座的運営の実態。大講座的運営のメリットとデメリット
 大講座の運営を実施している。
メリット:必要なプロジェクトを早期に立ち上げられるなど、柔軟な取り組みが可能であるほか、外部資源(人材や研究費)を導入しやすくなっている。
デメリット:研究能力の劣る研究者が単独で実施する、あるいは共同研究の推進においても独りよがりな研究にシフトし、研究成果が上がらない。このデメリットをなくすには、研究評価方法を確立することが課題である。

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