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 2.部門・センターの将来構想

2.9 水資源研究センター


1.部門・センターの目的
 地球規模および都市・地域規模での水資源を取り巻く自然・社会現象とその変化を多角的にとらえ、ジオシステム・ソシオシステム・エコシステムの総体としての水資源の保全と開発のシステムを総合的に研究すること。

2.部門・センターの目的の変更必要性の理由と新たな目的
(理由)
 国内での水資源問題にとどまらず、地球規模の気候変動を視野に入れ、かつ水質や生物生態系への影響に配慮した水資源・水環境の保全を目的とするために、これまでのセンターの目的を拡大する必要がある。

(変更後の目的)
 地球規模および都市・地域規模での水資源を取り巻く自然・社会現象をジオシステム・ソシオシステム・エコシステムの総体として多角的にとらえ、気候変動等にともなう水循環の変化やそれに応じた人間・社会系の変化を予測し、生態環境をも含めた水資源の保全、開発、管理を総合的に研究すること。

3.部門・センターの現在の研究活動に即した目標と達成したい成果等、および、5年程度の中期目標とそれ以上の期間の長期目標
(5年程度の中期目標)
(1)全球大気大循環モデルによる気候変動予測値をダウンスケーリングするための領域気候モデルを整備し、気候変動に対応した水資源賦存量の評価ならびに、流域の水資源管理に応用すること。
(2)水量・水質・生態および人間活動の相互関係を包含した水環境の総合的評価手法の開発と水資源ダイナミックスモデルの構築。
(3)地下水貯留管理と地下水保全のための解析システムの開発、地下ダムの設計・運用管理。
(4)中長期・短期の降雨予測手法の開発とそのダム貯水池操作支援システムへの導入。

(10年程度の長期目標)
(1)水資源ダイナミックスモデルを利用した持続可能な水資源政策支援システム
(2)水資源システムの実時間操作支援ロボットの製作
(3)国際的な水資源・水環境研究の研究拠点としての位置づけを確保

4.部門・センターの目標を達成する上で、現在の分野・領域構成は適切かどうか。変更する場合の理由と構成
現有の専任スタッフの参画と客員教官の補完により目標達成をはかるとともに、共同研究を推進するので現在の構成でかまわない。むしろ単純に分野・領域の構成変更を行うよりも、センター程度の単位で大型(長期)プロジェクトのための組織の中核として機能するため、部門・分野の横断的なつながりをもたせることの方が重要。ただし、もしも改組して部門・センターの数を減らすことになれば、理学系の気候・気象の研究室と水資源研究センターが合体することも考えられる。

5.部門・センターの目標を達成する上で、現構成メンバーの専門分野でカバー可能か。不可能な場合に新たに必要な専門分野
(1)渇水対策とその評価など。プロジェクト型の研究課題を立ち上げて、研究員としてオーバードクターを雇用するなどが必要。客員制度の期間を柔軟にするなどして対応すべき。2年間では短い気がする。
(2)農業灌漑や水利用の専門家、浸透分野の研究者がいる方が望ましい。

6.部門・センター内での大講座的運営の実態。大講座的運営のメリットとデメリット
(1)回数は不十分であるが合同で研究ゼミを実施している。メリットは様々な専門をバックグランドにした人の意見を聞くことにより、客観的に研究内容を捉えることができ、また異なったアプローチのヒントが得られる可能性を秘めていること。デメリットは事例によっては各研究室の方針が必ずしも一致していない場合があり、意見の統一や調整が必要となる。しかしそのことによりその事柄について深く考えることにもなるので、デメリットとも言い切れない。
(2)センターにおける大講座的運営の内容が不明確。学生数が少ないので観測等を考えると研究室単位の方がしやすい面もある。
(3)大講座を否定するつもりはないが、研究所の発展は各研究者が個々に努力し、成果を挙げることが重要である。

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