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 2.部門・センターの将来構想

2.8 火山活動研究センター


1.部門・センターの目的
 全国的なレベルでの野外観測拠点として、火山学、火山噴火予知、火山災害軽減に関する学際的実験・観測を総合的に推進する。改組時のこの目的に添って各種共同研究の推進、国内外の学生の教育研究指導、研究教育資料の提供に加え、地域社会を含め火山防災に関する情報やデータの提供を行っている。

2.部門・センターの目的の変更必要性の理由と新たな目的
(理由)
これまでの研究成果を火山防災へ活かし、噴火予知に関する未解明の課題に取り組むため。

(変更後の目的)
世界的なレベルでの野外観測拠点として、火山学、火山噴火予知、火山災害軽減に関する学際的実験・観測を総合的に推進するとともに、これらの研究成果を火山防災に活かすための研究を行う。

3.部門・センターの現在の研究活動に即した目標と達成したい成果等、および、5年程度の中期目標とそれ以上の期間の長期目標
(5年程度の中期目標)
・最も数多く発生する火山の水蒸気爆発の発生予測は未解明である。国内やインドネシアの火山等を対象に観測研究を推進し、水蒸気爆発の前駆現象と発生メカニズムを解明し、火山噴火予知の質的向上を図る。
・これまでの研究成果と蓄積した国内外のデータを元に、火山現象、噴火の前駆現象等のデータベースを作成し、火山活動の評価手法の確立に資する。

(10年程度の長期目標)
・火山の特性(噴火様式、規模等)に応じた、火山監視観測、データ評価方法、防災避難活動と対応した火山情報のレベル化のあり方を、いくつかの火山について提言し、火山噴火予知の実用化に資する。

4.部門・センターの目標を達成する上で、現在の分野・領域構成は適切かどうか。変更する場合の理由と構成
 現在の1研究領域(火山噴火予知)では、実現困難である。
 既に、マグマ噴火の予知・予測は実現に近づきつつあるものの、活動開始以降の推移予測は研究途上にある。また、水蒸気爆発、長期間活動を休止している火山の活動評価は今後の課題として残っている。また、海外の研究者の共同研究提案を受け入れるには規模が小さい。今後の課題に取り組むと同時に、これまでの研究成果を、部分的であれ火山噴火予知の実用化という社会にみえる形で還元するには、少なくとも2名の増員で、2研究領域としたい。
 具体的には、火山活動モニタリングをもとに火山活動・噴火機構の定量的モデリングの研究を行い火山噴火予知の高度化を図る「火山噴火予知研究領域」に加えて、火山現象、噴火予知および火山災害に関する成果を整理・分類・体系化して噴火予知の実用化に向けた研究を行う「火山活動研究領域」の新設をはかりたい。

5.部門・センターの目標を達成する上で、現構成メンバーの専門分野でカバー可能か。不可能な場合に新たに必要な専門分野
 中期目標を達成するには、火山内部でのマグマや火山ガスの挙動、および噴出物を対象に研究する地球化学・地質学・岩石学の分野のスタッフが不足している。
 長期的目標を達成するには、火山に関心がある、工学・社会学等の分野の研究者を導入したい

6.部門・センター内での大講座的運営の実態。大講座的運営のメリットとデメリット
 当センターは1研究領域であるが、研究手法・専門分野が、地震学、測地学、地球電磁気学、地質岩石学、地球化学と多岐にわたるので、各教官が複数の研究手法をカバーして連携協力して観測研究を実施している点で大講座的運営をしているといえる。規模の小ささをカバーするため、それぞれの分野における国内の指導的立場にある研究者を所外から招聘し、若手研究者・学生の研究指導をお願いするとともに、野外観測研究実施においては学内外の研究者・技術職員の協力を得ている。
 大講座的運営のメリットの有無は、各人が自分の研究分野に責任をもち、どれだけ仲間の研究を理解し、当該部門センターの具体的目標を共有化しているか、によるのではないか。部門・センターには適正なサイズがあり、それを越えると大講座的運営のデメリットが際立ち、小さすぎると各研究者の負担が増加し研究成果の公表等に支障をきたすと考える。

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