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 2.部門・センターの将来構想

2.4 水災害研究部門


1.部門・センターの目的
 都市化等によって社会環境および自然環境が変化する状況下で、洪水氾濫、内水氾濫、高潮・津波、土石流など、河川流域、都市および沿岸域における水・土砂災害の原因となる自然現象の解明ならびに予知・予測を行い、これらの現象によって引き起こされる災害の発生機構と拡大過程を究明して災害現象のシミュレーションを行うことを通じて、災害を防止・軽減するためのハード・ソフト対策の開発および設計に対する科学的基礎を樹立することを目的とする。

2.部門・センターの目的の変更必要性の理由と新たな目的
(理由)
 現在は災害現象のシミュレーションによって、信頼性の高いハザードマップを作成できるようにすることに力点が置かれているが、近い将来においては、災害による被害の評価、ハード対策とソフト対策の目標をそれぞれどのような規模の災害に対して決めるかや、環境問題と両立する対策手法の開発へと発展させる。

(変更後の目的)
 都市化等によって社会環境および自然環境が変化する状況下で、洪水氾濫、内水氾濫、高潮・津波、土石流など、河川流域、都市および沿岸域における水・土砂災害の原因となる自然現象の解明ならびに予知・予測を行い、これらの現象によって引き起こされる災害の発生機構と拡大過程を究明して災害現象のシミュレーションを可能にし、地理情報システム等を駆使して超過外力規模の災害による損失の評価を行うことにより、当該地区で採用すべきハード対策とソフト対策の組み合わせの考え方に対する指針を与えるとともに具体案の計画を可能にする。対策案に関しては、環境との両立を重視する。

3.部門・センターの現在の研究活動に即した目標と達成したい成果等、および、5年程度の中期目標とそれ以上の期間の長期目標
(5年程度の中期目標)
 河川流域、沿岸域及び地下空間を含む複雑な都市域において発生するであろう水災害・土砂災害を統合したシミュレーション手法の開発と高度化を実現し、信頼性の高い総合水・土砂災害ハザードマップの作成を可能にする。また、自然的・社会的条件の変化が災害に与える影響を的確に組み込むために、GIS技術を活用した場の条件の入力法を開発する。ハード対策の信頼性向上に関連して、砂防構造物の性能設計手法の開発、海岸構造物基礎の液状化被災の究明を行う。さらに、各種ハード対策構造物の被災確率を考慮した被害予測を可能にする。

(10年程度の長期目標)
 中期目標の達成によって開発された災害予測手法を汎用化するとともに、人口の過密化・過疎化、高齢化、さらには稠密な都市における自動車や各種のインフラ設備等の災害環境変化が災害に与える影響を定量的に評価できるモデルへと発展させ、受け身の対策ではなく、減災の観点を積極的に導入した社会構造のあり方を追求する。防災対策と環境の両立は21世紀の重要課題であるが、流す砂防、貯水池の排砂、河川流域の自然回復、豊かな海岸環境を一貫して実現できる人間・自然系水象シミュレーション手法を開発する。防災手段としてのハード対策には各種制約による限界があるので、減災手段としてのソフト対策との併用が重要であるが、その合理的な組み合わせを決める方法を開発する。そのために、信頼性の高い災害回避情報の収集法ならびに住民への伝達法についての研究を進展させる。水・土砂災害は特に発展途上国で深刻な状況であるから、当部門で開発した先進的な技術の普及のための積極的な国際貢献を行う。

4.部門・センターの目標を達成する上で、現在の分野・領域構成は適切かどうか。変更する場合の理由と構成
 適切である。

5.部門・センターの目標を達成する上で、現構成メンバーの専門分野でカバー可能か。不可能な場合に新たに必要な専門分野
 必要に応じて共同研究を実施する。
国際貢献を活発化するために外国人客員がほしい。

6.部門・センター内での大講座的運営の実態。大講座的運営のメリットとデメリット
 プロジェクト研究や災害調査等では大講座的運営を行っている。
 メリットはより広い視点に立った研究が可能なことであり、デメリットは事務処理や打ち合わせの日程調整に手間取ることである。

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