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5.2 大学院教育

 防災研究所の各研究分野・領域は、理学研究科地球惑星科学専攻、工学研究科土木工学専攻、同土木システム工学専攻、同環境地球工学専攻、同建築学專攻および同生活空間学専攻、情報学研究科社会情報学専攻の協力講座として、大学院教育に携わっており、教授・助教授はそのほとんど全てが何れかの講義を担当している。一方、大学院の講義を担当している助手は少ない。

 平成12〜14年度に防災研究所の教官が担当した大学院開講科目および担当教官を表5.2.1に示す。

 他大学の大学院で非常勤講師として講義を担当しているのは、平成12〜14年度において14大学院14名である。平成8〜10年度では2大学院2名、平成10〜12年度では8大学院8名であったのに比べて大幅に増加した。この数は、他大学院の方針等もあり年度により増減が激しいと考えられるが、他大学院での講義の機会が増えていることは防災研究所の評価が反映されているととりたい。大学院名は以下の通りである。
大阪市立大学大学院理学研究科
岡山大学大学院理学研究科
金沢大学大学院工学研究科
金沢大学大学院自然科学研究科
神戸大学大学院自然科学研究科
東京大学大学院工学研究科
東京大学大学院理学研究科
東京電気大学大学院理工学研究科
富山大学大学院理工学研究科
名古屋大学大学院工学研究科
新潟大学大学院自然科学研究科
山梨大学大学院工学研究科
University of British Columbia
National University of Singapore

  表5.2.2に担当教官と講義名を示す。

防災研究所で受け入れ、防災研究所の教官に研究および論文執筆の指導を受けている大学院生の数は、平成9年度以降、表5.2.3に示すようになっている。また、部門、研究分野等の内訳を、表5.2.4および5に示す。

博士課程の学生は、年々増加している。一方、修士課程の学生数は平成11年度まで増加し、その後はほぼ90〜100名の学生が研究指導を受けている。博士課程および修士課程の学生数の合計は増加しており、大学院重点化の効果が徐々に現われつつあることを示唆している。ただし、外国人枠の増加が著しいのに対して、社会人学生はほとんど変化せず、残りは僅かに増加しているだけであり、日本人学生の大学院進学率はあまり向上していない。これは、博士課程在学中の経済的な自立に関する問題とともに、後に示すように学位修得後の研究職獲得の難しさや、常勤ポストが限られていることから、卒業後の研究者としての身分が不安定であることなどが原因であると考えられる。

平成14年度末の教授および助教授の数はそれぞれ36、32名であり、教授・助教授一人あたりの受け入れ大学院生数は約2.8人となる。この数は、平成12年度自己点検評価当時の研究科兼担教官一人あたり2.1人に比べて増加しているが、大学院生の数はまだまだ少ない。

博士学位授与に関して本研究所教官が主査となっている件数は、平成12年度7件、13年度9件、14年度2件となっており、平成12年度自己点検評価時より減少した。内訳は表5.2.6に示すとおりで、理学が5件、工学が11件、情報学が2件である。また、修士の学位授与に関しては表5.2.7に示すとおり平成12年度39件、平成13年度32件であり、こちらも平成12年度自己点検評価時より減少した。

過去三年間の大学院修了・卒業者の就職先は表5.2.8に示すように、多岐にわたっているが、国内の大学へ教員等としての採用は7件であり、平成12年度自己点検評価時に比べて減少している。近年、科学技術庁特別研究員、他大学COE研究員など期限付き研究職に就く者も増えてきたが、社会全体としての流動的なポストが限られている現在において研究者の身分は依然として不安定であり、常勤ポストへの就職は依然不透明な状況である。

平成12年度自己点検評価では、大学院重点化に伴い、さまざまな経歴を持った学生が入学してくるようになって、一部の学生には基礎学力に若干の問題があることが指摘された。また、研究所教官にとっては、学部時に優秀であった学生が必ずしも担当する大学院へ進学するとは限らず、大学院への勧誘と学生確保に新たなエネルギーが必要とされている面もある。このような問題の解決策として、学部・大学院を含めた主体的な教育システムを模索し、研究所独自の学生受け入れシステムを確立すべしとの意見や、大学院在学中の経済的自立を図るため、独自の奨学基金を設立すべしとの意見が紹介されている。しかし、後述する学部教育との一体的なシステムとして構築されるべきものであることから、全学としての検討が必要であり、継続して検討・調整を行っていかなければならないのが現状である。

表5.2.1 大学院担当講義一覧

表5.2.2 他大学院での担当講義科目一覧

表5.2.3 大学院生数

表5.2.4 大学院在籍者数(博士)

表5.2.5 大学院在籍者数(修士)

表5.2.6 学位論文

表5.2.7 修士課程修了者数

表5.2.8 過去三年間就職先
1.総合防災研究部門
建設省(国土交通省),且O菱総合研究所,松江市役所,東日本旅客鉄道,電力中央研究所,京都大学防災研究所,竹中工務店,長谷工設計,中央復建コンサルタンツ,三井物産,八千代エンジニアリング
2.地震災害研究部門
(独)防災科学技術研究所(PD研究員),日本学術振興会(PD外国人特別研究員), 日本学術振興会(PD特別研究員),(独)産業技術総合研究所(研究員),富士通,構造計画研究所,東京ガス,JR東海,鉄道総合研究所,新日鉄,JR東日本,日本技術開発,大阪市,電源開発,日立造船葛Z術研究所,大成建設
3.地盤災害研究部門
鹿島建設,熊谷組,国土交通省,和歌山県日高振興局建設部,潟Gイトコンサルタント,国土防衛技術,筑波大学,防災科学技術研究所,京都大学防災研究所(日本学術振興会外国人特別研究員,COE研究員),金沢大学工学部,新潟大学積雪地域災害研究センター,ロシア・国家地質監視センター,アクセンチュア,KADOYA Internet,サンテムズ,消防庁消防研究所,鞄本総合研究所,アトラス情報サービス
4.水災害研究部門
国土交通省,首都高速道路公団,科学技術振興事業団,住友信託銀行,三井不動産,P&G, 大成建設,建設技術研究所,大阪市,戸田建設,長崎大学,東海旅客鉄道,大豊,日本水工設計,国土交通省;(独)港湾空港技術研究所に出向
5.大気災害研究部門
日本IBM,D&I情報システム,日本原子力研究所東海研究所環境科学研究部,日本総合研究所,岐阜大学大学院工学研究科環境エネルギーシステム専攻(助手),コンパックコンピューター
6.災害観測センター
JR九州,日本鉄道建設公団,大林組,潟jュージェック,日立建設機械
7.地震予知センター
日立製作所,三菱電機、名古屋大学地震火山観測研究センター,科学技術庁防災科学技術研究所,図書印刷,伊藤忠テクノサイエンス,NTTコミュニケーションズ(株),京都大学防災研究所
8.火山活動研究センター
富士通,フューチャー・コンサルティング・システム
9.水資源研究センター
鞄揮,褐嚼ン技術研究所,大阪市,且R武ビルシステム,椛蜷ャ建設,国土交通省,日本工営コンサルタント,パシフィックコンサルタンツ,五洋建設,電通国際情報サービス
10.巨大災害研究センター
京都大学防災研究所,潟nイドロソフト技術研究所,潟Nレアン,叶_戸製鉄所,光洋無線,大和證券SMBC

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