Index Next

4.6 災害観測実験センター

4.6.1センターとしての活動概要

@研究対象と方針

 自然災害を防止し、自然と調和した豊かな社会を築くためには、自然災害の発生メカニズムを解明し、災害過程を予測し、対策を行うことが必要である。そのためには、地域に密着した災害要因監視機能、観測、モニタリング、および高い精度の災害発生予測モデルが必須で、これを可能にするためには、災害発生のプロセス研究、観測システム、シミュレーションの3つの機能が一体となった研究開発が必要である。さらに、予測された災害ポテンシャルに対して適切な対策を講じるためには、行政、地域の住民の参加を得て、地球環境問題に配慮した、地域連携型の防災計画とそれを推進するための学問的、科学的根拠が必要となる。

災害観測実験センターでは、上述の背景に鑑み、災害水象・気象海象・土砂環境・地震動観測実験の4研究領域が連携し、宇治川水理実験所(宇治川オープンラボラトリー)、潮岬風力実験所、白浜海象観測所、大潟波浪観測所、穂高砂防観測所、徳島地すべり観測所の6附属施設の特色ある機能を活用して、気圏、水圏、地圏の災害に関わる自然現象の観測とモデリング及びシミュレーションに関する融合研究を行ってきた。それとともに、社会における環境共生型防災対策の重要性に鑑み、毎年、複数の専門家を非常勤講師として招聘し、学際的共同研究を積極的に行ってきた。

 特に、地域環境シミュレータの開発研究への足掛りとして、「田辺湾における赤潮発生予測の研究(科学研究費地域連携推進研究費)」を実施した。さらに、「山地斜面、河川系、湖沼、海洋を通じての物質輸送」に関する一連の研究を全国公募方式の防災研究所共同研究の一環として実施してきた。


A現在の重点研究課題

・水域環境変動の総合観測および地域環境防災シミュレータの開発に関する研究

・強風、高潮、波浪災害の防止・軽減に関する総合研究

・河口・沿岸域の土砂環境統合解析プラットフォームの開発に関する研究