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4.1 総合防災研究部門

 

4.1.1部門としての活動概要

@部門の研究対象と方針

部門は、阪神・淡路大震災における複合的都市災害の経験と、近年の都市構造の発展・拡大の現実を踏まえ、より総合的かつ長期的な視点に立脚した防災科学の研究を行うことを目的に設置された。具体的には、「都市社会安全システムのためのリスクマネジメントの方法論ならびにシステム技術の構築」を部門全体の研究活動の共通

目標としている。当部門は以下の5研究分野(内1分野は外国人客員)から構成されている。

災害リスクマネジメント研究分野:自然災害、環境災害などの災害リスクに対して有効な戦略を打ち立てていくためには、災害マネジメントの戦略についてリスク分析的視点から研究を進めることが必要である。本研究分野は、このような視点からリスクマネジメントのための方法論的研究を行う。

防災社会構造研究分野:都市における災害軽減のために、情報の発信者と受信者間のコミュニケーションの不整合や情報の質に伴うさまざまなリスクを対象として、安全・安心できる都市地域の構築を目指した社会システム技術など都市災害リスクコミュニケーションに関する研究を行う。

都市空間安全制御研究分野:総合防災における物理的課題と対象として、大地震による都市空間の危険度評価手法の研究とともに、安全性と快適性を備えた質的に高度な生活空間を実現するための空間安全制御手法、都市空間構成要素の信頼性設計法、生活空間防災計画法に関する総合的な「生活の質」向上の研究を行う。

自然・社会環境防災研究分野:総合防災における中長期的な環境的課題に取り組むために、自然的(ジオ・エコ)・社会的(ソシオ)環境変化が防災または減災にどのような影響を与えるかを分析し、環境保全型の防災都市・地域づくりを研究

する。

国際防災共同研究分野(外国人客員):21世紀の世界の災害を予測・制御するために、多面的な国際共同研究を行う。すなわち、災害科学の先端的研究者との共同研究、社会・文化が異なる諸国の災害機構の解明と災害軽減の技術及び情報の国際運用に関する共同研究、さらに、災害多発国の若手研究者・技術者との災害科学に関する共同研究を行う。

A現在の重点研究課題

各研究分野別の研究課題に加えて、総合防災研究部門では、下記の重点研究課題を研究テーマに掲げて、当該部門全員による総合的研究を鋭意実践している。その概要を示すと以下のようである。

災害リスクに対する「都市診断」科学の構築とその応用に関する総合的研究、複合的な災害リスクに対して都市を守るための予防的で総合的な「都市診断」の科学のパースペクティブと、そのための方法論を構築することを目的とする。本研究グループでは、このような目的の下に、都市診断科学の主要な課題として、1.都市リスクに対する抵抗力(災害リスクマネジメント分野)、2.都市基盤の診断(防災社会構造分野)、3.生活空間の安全管理(都市空間安全制御)、4.環境改善による持続的処法(自然社会環境防災)、を取り上げ、総合的な研究を推進している。


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