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 3.7 災害調査


災害名称:2001年インド西部・グジャラート地震
発生年月日:平成13年1月26日
調査期間:平成13年2月26日〜3月13日
調査者名:
Mori.James Jiro・地震予知研究センター(余震観測チーム)
林 康裕・総合防災研究部門(被害調査チーム)
澤田純男・地震災害研究部門(被害調査チーム)
調査形態:文部科学省突発災害
調査内容:インドにおける地震観測網はほとんど整備されていないに等しく、この地震の本震余震とも満足な記録が存在せず、震源断層の位置すら正確には把握されていない状態であった。そこでMoriは、余震観測チームの一員として、震源域で余震観測を行い、8観測点で1434余震を観測した。この結果、震源断層の位置や傾き、本震の震源域の大きさなどを特定できた。また地震被害に関して、震源断層近くのGandhidham市において、場所によって建物被害に大きな差が見られた。そこで、林および澤田は、被害調査チームの調査活動の一部として、地盤の常時微動計測と被害が集中した街区建物全数被害調査を行った。その結果、建物被害と地盤条件の間に明確な相関が見られなかったこと、建物被害の差は建物の耐震性能の差による可能性が高く、その要因として、都市形成時に生じたAnjar 地震の被害経験から旧市街地では耐震性の強い家(街)造りがなされたのに対し、新市街地に比較的最近建てられた4階以上の高い建物に被害が大きかったことがわかった。
関連調査報告書等:
Tamao SATO et al.: A Comprehensive Survey of the 26 January 2001 Earthquake (Mw 7.7) in the State of Gujarat, India, Dec. 2001.


災害名称:平成12年神津島地震災害
発生年月日:平成12年7月1〜9日
調査期間:平成12年12月23〜26日
調査者名:
千木良雅弘・地盤災害研究部門
西山賢一・地盤災害研究部門
調査形態:独自調査
調査内容:平成12年7月1日の震度6弱の地震およびそれに引き続く降雨によって発生した斜面崩壊について、崩壊状況および発生場の地質地形特性について調査した。その結果を踏まえて、平成14年現在修士課程の宮崎裕子が研究を継続している。その結果、崩壊は7月1日の地震で数多く発生したものの、それに引き続く降雨で発生したものは少ないことが明らかになっている。また、崩壊の発生は、地質とそれを反映した地形に大きく規制されていることが明らかになった。
関連調査報告書等:
一部を千木良雅弘著「群発する崩壊-花崗岩と火砕流」(近未来社、2002)に記述した。


災害名称:台湾集集地震による斜面災害
発生年月日:平成11年9月21日
調査期間:平成12年11月11〜24日
(それ以前にも2回調査済み)
調査者名:
千木良雅弘・地盤災害研究部門
調査形態:独自調査
(台湾の工業技術研究院との共同研究)
調査内容:集集地震の時に発生した2つの大規模崩壊(九分二山、草嶺)の地質地形調査を実施し、それらの斜面が地震発生前から変形していたこと、そして、これらの発生場所は地質構造と地形的特徴とから予測可能であったことを明らかにした。
関連調査報告書等:
調査結果は、次の二論文にまとめられている。
Wang Wen-Neng, Furuya T., and Geological and Chigira, M. (in press) Geomorphological Precursors of the Chiu-fen-erh-shan Land- slide Triggered by the Chi-chi Earthquake in Central Taiwan. Engineering Geology.
Chigira, M., Wang Wen-Neng, Furuya T., and Kamai, T. (in press). Geological causes and geomorphological precursors of theTsaoling landslide triggered by the 1999 Chi-Chi Earthquake, Taiwan. Engineering Geology.


災害名称:芸予地震による斜面災害
発生年月日:平成13年3月24日
調査期間:平成13年4月
調査者名:
佐々恭二・地盤災害研究部門(団長)
福岡 浩・地盤災害研究部門
王 功輝・地盤災害研究部門
北川隆司・広島大学理学部
落合博貴・林野庁森林総合研究所(現、独立行政法人)
井口 隆・科技庁防災科学技術研究所(現、独立行政法人)      他
調査形態:京大防災研調査団、(社)日本地すべり学会調査団
調査内容:平成13年3月24日に発生した芸予地震では、広島県、愛媛県等で震度4〜5程度の地盤の揺れが生じた。幸い、降雨が少ない時期であり、地すべり・斜面崩壊による大きな災害は発生しなかった。しかし、地震の揺れによって各所でひび割れや変形が生じており、この地震が土中の水分が多い時期に発生した場合に生じたであろう地すべり・斜面崩壊の予測や今後の地震・降雨での土砂災害の危険性を予測するための貴重なデータを提供しているものと考えられる。佐々は(社)日本地すべり学会と緊急調査団を組織し、斜面災害が報告されている呉市、東広島市および加茂郡河内町の現場を4月8日に視察し、以下の調査項目について調査した。
1.地震動により地盤変状の生じた場所とその条件の調査(地震による斜面災害発生場所の予知のための基礎調査)
2.地震による斜面災害を軽減するための防災対策に関する基礎調査
3.地震・豪雨による斜面災害の発生場所、発生形態の違いに関する調査
4.平成11年の広島豪雨災害との対比により、地震・豪雨による斜面災害の発生場所、発生形態の違いに関する基礎調査を行った。
関連調査報告書等:
佐々恭二,北川隆司,福岡 浩,落合博貴,井口 隆,藤田 崇,小宮山賢太郎,王 功輝:平成13年3月24日芸予地震による斜面災害軽減対策に関する緊急調査結果報告(速報), 地すべり(日本地すべり学会誌), Vol.38(1), pp.78-84, 2001.


災害名称:2001年エルサルドル地震によるラスコリナス地すべり
発生年月日:平成13年1月13日
調査期間:平成13年11月
調査者名:
佐々恭二・地盤災害研究部門
福岡 浩・地盤災害研究部門
守随治雄・地盤災害研究部門(非常勤講師)
星野 実・国土交通省国土地理院
調査形態:京大防災研調査団、
科学技術振興調整費「地震豪雨時の高速長距離土砂流動現象の解明(APERIF)」総括研究班
調査内容:2001年1月13日に発生したエルサルバドル沖を震央とするMs7.8の地震では、同国各地で斜面災害を引き起こしたが、特に首都郊外のヌエバ・サンサルバドルのラスコリナス地区においては中規模の高速運動する流動性崩壊が発生し、斜面下部の居住地区を広範囲に破壊した。犠牲者は747名と報じられ、大規模な災害となった。2001年11月に現地調査を行ったところ、すべり面上に堆積していた褐色シルト質火山性堆積物は他の層の堆積物と異なり比較的高い含水比を示しており、この土層が過剰間隙水圧を発生させ高速運動の鍵となったと推定され、この土層がせん断中に過剰間隙水圧を発生し高速運動の鍵となったと思われた。源頭部すべり面に残留していたこの褐色シルト質火山性堆積物を約100kgと白色パミス質の土を少量採取して日本へ運搬し地震時地すべり再現試験を実施した。
関連調査報告書等:
Konagai, K., K. Sassa, H. Fukuoka, et al.(2001): Las Colinas Landslide Caused by the January 13, 2001 Off The Coast of El Salvador Earthquake. Journal of Japan Association for Earthquake Engineering, Vol. 2, No.1, pp.1-15.
佐々恭二,福岡 浩,王 功輝:地震豪雨時の高速土砂流動現象の予測の研究(APERIF)について, 日本地すべり学会関西支部シンポジウム「土砂災害新法と危険度予測研究」論文集, pp.61-79, 2002.
福岡 浩,佐々恭二,小長井一男,守随治雄:2001年1月エルサルバドル地震によるラスコリナス流動性崩壊, 第41回(社)日本地すべり学会研究発表会「地すべり2001」講演集,pp.71-74, 2002.
福岡 浩,Igwe Ogbonnaya,佐々恭二,岡田康彦:2001年1月エルサルバドル地震による高速土砂流動再現試験.文部科学省科学技術振興調整費「地震豪雨時の高速長距離土砂流動現象の解明(APERIF)」公開シンポジウム論文集, pp.301-312, 2002.
佐々恭二:地震豪雨時の高速土砂流動現象メカニズムの解明−大都市圏での災害とその防災−. 文部科学省科学技術振興調整費「地震豪雨時の高速長距離土砂流動現象の解明(APERIF)」公開シンポジウム論文集, pp.7-34, 2002.


災害名称:メコン河水害
発生年月日:平成12年8月〜10月
調査期間:平成12年11月
調査者名:
井上和也・水災害研究部門
中川 一・災害観測実験センター
武藤裕則・災害観測実験センター
       (他大学の調査者4名も参加)
調査形態:土木学会
調査内容:2000年洪水の水文・水理資料の調査、氾濫過程の調査、被害状況の調査
関連調査報告書等:
土木学会水理委員会「メコン河洪水氾濫調査 2000年11月」


災害名称:東海豪雨災害
発生年月日:平成12年9月11日〜12日
調査期間:平成12〜13年度
調査者名:
寶  馨・水災害研究部門
 立川康人・水災害研究部門
調査形態:水文・水資源学会東海豪雨災害調査委員会
調査内容:水文・水資源学会では、水文・水資源の立場から本災害の特徴を分析し、今後の防災対策に役立てることを目的とし、「東海豪雨災害調査委員会」を組織し、調査研究と議論を行なった。
 京都大学防災研究所では、既往記録からの統計的考察を行った。名古屋周辺の気象官署の記録からは、日降水量については過去約110年間の記録の中でも郡を抜いて大きな記録であることが分かった。最大日降水量記録を見ると、350mm前後の値は珍しくないが、日降水量400mmを超える事例は数事例確認されるのみであり、今回事例を上回ると思われる辞令は1965年9月の事例のみであった。1時間降雨推量については、名古屋では既往最大値をわずかに上回った。また、名古屋地方の過去の顕著な豪雨事例である1965年9月、1972年7月と比べ、1〜5時間降水量では降雨強度を上回っており、東海豪雨災害は、短時間の降水強度が特に激しい事例であったことが分かった。
関連調査報告書等:
水文・水資源学会東海豪雨災害調査委員会:2000年9月東海豪雨災害の実態と教訓,水文・水資源学会誌, Vol.14, No.5, pp.411-432, 2001.


災害名称:2001年6月から7月にかけて
発生した強風被害について
発生年月日:平成13年6月〜7月
調査期間:平成13年6月〜7月
調査者名:
大気災害研究分野・耐風構造部門
調査形態:独自調査
調査内容:平成13年の6月から7月にかけて発生した3件の強風被害に関して、現地調査や役所、消防署等からの資料に基づいて被害概要をまとめ、建物被害と気象状況の比較を行った。3件の強風被害は、いずれも長さ7〜12km、幅200〜600mであり、ピアソンスケールではP2にあたる。また、建物被害の様子からフジタスケールでF2にあたることがわかる。
 被害に関しては、北海道北竜町付近の強風被害では特に田畑の占める面積が多い地域であるため、その他の2件の強風被害に比べて、倉庫やビニールハウスなどの非住家の被害が多いという特徴が見られた。また、北海道北竜町住民によって撮影されたビデオによりこの被害が竜巻によるものであることが明らかになった。愛知県一宮市付近および滋賀県愛知川町付近に関しては、これらの被害が竜巻によるものかダウンバーストによるものであるかの確証はつかめなかった。
関連調査報告書等:
日本風工学会論文報告集に報告として投稿


災害名称:有珠山噴火災害
発生年月日:平成12年3月30日
調査期間:平成12年4月〜10月
調査者名:
河田惠昭・巨大災害研究センター
調査形態:独自調査
調査内容:有珠山噴火に伴う伊達市などの住民避難の実態と政府と地元自治体の連携体制および被害復旧・復興過程について現地照査し、次のことが判明した。
@噴火前の対応準備の違いが如実に被害程度に反映した。A噴火はハザードマップ通りではなかったが、結果的に役に立った。B火山と共生する地域社会モデルが提案できた。
関連調査報告書等:
政府の危機管理マニュアルに反映


災害名称:三宅島噴火災害
発生年月日:平成12年8月18日〜
調査期間:平成14年4月8日〜17日
調査者名:
林 春男・巨大災害研究センター
調査形態:独自調査
調査内容:上空から火口の状況および地上からの現在の三宅島の状況調査および、東京都副知事、東京都三宅支庁関係者、三宅村役場関係者へのヒアリングの実施
関連調査報告書等:
三宅村復興基本計画


災害名称:東海豪雨災害
発生年月日:平成12年9月11日
調査期間:平成12年9月16日〜13年3月7日
調査者名:
河田惠昭研究室・巨大災害研究センター
調査形態:名古屋大学突発災害
調査内容:都市水害における市民の対応をヒアリング、アンケ―ト調査等によって明らかにした。(1)市民は今回の災害を当初から深刻に考えていなかったため、あらゆる対応が遅れた原因となった。
(2)行政の対応は地震を対象としたものに特化していたので、水害では不十分であった。
(3)ボランティアの立ち上げは失敗した。事前にどのように取組むべきかが明らかになっていなかったことが原因である。
(4)都市ゴミの量を推定する方程式を確立できた。(5)行政の対応について多くの点が指摘でき、改良された。
関連調査報告書等:
関連論文3編発表、愛知県水害対策委員長に就任。


災害名称:米国世界貿易センタービルテロ災害
発生年月日:平成13年9月11日
調査期間:平成14年2月24日〜3月3日
調査者名:河田惠昭・巨大災害研究センター
林 春男・巨大災害研究センター
田中 聡・総合防災研究部門
他機関より40名
調査形態:文部科学省平成13年度科学技術振興調整費緊急研究開発
調査内容:1)世界貿易センタービル地区の都市環境被害の実態とその後の復旧過程の分析、2)グラウンドゼロ地域での災害対応過程の分析、3)世界貿易センタービル災害の広域的な影響と復興過程の分析、4)在ニューヨーク(NY)日系企業及び日本人旅行者の対応のエスノグラフィー調査
関連調査報告書等:
文部科学省成果報告書、調査団報告書(執筆中)


災害名称:2000年鳥取県西部地震
発生年月日:平成12年10月6日
調査期間:平成12年10月13日〜11月13日
調査者名:
赤松純平・巨大災害研究センター
調査形態:大学連合共同調査団
調査内容:弓ヶ浜半島の基盤構造調査のための余震観測
関連調査報告書等 
吉川大智,盛川 仁,赤松純平,野口竜也,西田良平:余震、微動、重力を用いた弓ヶ浜半島における2次元基盤構造の推定, 地震U, 55-1, 61-73, 2002.

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