所長就任のご挨拶

今 本 博 健 


 この度、平成9年5月1日付をもって防災研究所長に就任いたしました。私は昭和44年3月に工学部から防災研究所に配置換となり、昭和50年4月からは協議員会(現在の教授会に相当します)にも出席させていただいてきましたが、宇治川水理実験所に配属されていましたので、皆様方のなかには顔馴染みでない方も多いかと存じます。現在も宇治構内と宇治川水理実験所との間を行き来していますので、何かとご不便をおかけしていることと思いますが、原則として午前中は宇治構内で勤務いたしていますので、ご用件がありましたら、ご遠慮なくお訪ね下さいますようよろしくお願いいたします。
 さて、ご存じのように、昭和26年(1951)に「災害の学理とその応用の研究を行う」ことを目的として、京都大学に防災研究所が附置されました。発足当初はわずか3部門という構成でしたが、その後の社会情勢に応じて順次整備拡充され、平成7年(1995)には16研究部門、4研究センター及び7実験所・観測所を有する全国でも有数の大規模な研究所に発展いたしました。平成8年度には、研究所の設置目的を「災害に関する学理の研究及び防災に関する総合研究」を行うこととし、研究組織を5大研究部門・5研究センター制に改組するとともに、全国の大学の共同利用研究所として再出発することになりました。すなわち、防災研究所は、原則として、京都大学における防災研究活動の中心としてこれまで活動してきましたが、全国の国立大学の教員その他のもので防災研究所の目的とする研究と同一の研究に従事する研究者にも利用していただくことができるようになりました。
 さらに、平成9年度には卓越した研究拠点(COE:Center of Excellennce)に指定されました。このことにより、全国共同利用機関としての機能を十分に発揮しながら、その規模、施設・設備、当該分野における研究者間の交流、研究成果の蓄積と協力体制、研究の流動性、研究の点検・評価機能、国際的な開放性などを促進・充実するとともに、研究の一層の高度化、国際的に高い水準の学術研究の維持・発展を図り、世界に先駆けて新しい研究領域を開拓するなど、萌芽的・独創的な研究に取り組んで行くことが求められています。
 これらの改革により、全国共同利用関係経費として共同利用研究施設運営費、COE関係経費として研究高度化推進経費、非常勤研究員経費、外国人研究員経費(COE分)、国際シンボジウム開催経費、研究評価促進経費、先導的研究設備費が予算化されるようになりました。これらの経費はわれわれの研究活動や成果に支配されるもので、つねに確保されたものでないことは勿論です。したがいまして、防災研究所に所属する教職員におかれましても、気持ちを新たにして研究活動に従事し、国民の期待に応えられますよう一層奮励努力し、研究所をさらに発展させるよう頑張ろうではありませんか。