京都大学防災研究所研究集会(一般)17K-02
次世代型防災研究戦略の構築
この企画は、平成16年度の研究教育委員会(大志万直人委員長)で慎重な議論の上、「高度に集積発達した都市施設の災害脆弱性と
切迫する自然災害が複合する中、わが国全体を視野に入れ、内外の防災研究の有機的な融合を図り、もって我が国の防災研究のブレーク
スルーを先導していく戦略を構築する」ことを目的として、共同利用の枠組みの中で企画された。
平成17年度に入って、新たな研究教育委員会(川崎一朗委員長)によって、次の4回の研究集会が行われた。
第1回目(7月13日)は、河田惠昭(所長)、石原和弘(火山活動活動研究センター)、寶馨(社会防災研究部門)、馬場康之(流域災害研究
センター)の教員と松本道雄(総務課)に講演をお願いして、「防災研究所と、防災研究所の研究者を取り巻く研究・教育環境」をキーワードに
議論を行った。
第2回目(9月26日)は、所内から林泰一(流域災害研究センター)、林春男(巨大災害研究センター)、京都大学学内から小林正美(地球環境
学堂)、他大学から平田直(東京大学地震研究所)の方々にお願いして、「アジア地域との協力」をキーワードに議論を行った。
第3回目(11月11日)は、所内の助手層から飛田哲男(地盤災害研究部門)、助教授層から牧紀男(巨大災害研究センター)、日本学術振興
会外国人著名研究者招へい事業の一環として防災研究所に滞在中の金森博雄(カリフォルニア工科大学)に講演を依頼し、「若手層」と「理工
連携」をキーワードに議論を行った。
第4回目(12月26日)は、京都大学で新しい分野を越えた研究と教育の連携の試みである「生存基盤高等研究院」構想について井合進(地盤
災害研究部門、生存基盤高等研究院院長)に、準備中のNTTとの新しい連携構想について林春男(巨大災害研究センター)に講演をお願い
した。
この研究集会は、通常の研究とは異なるので、通常の意味での「成果のまとめ」と呼ぶべき性質のものはない。
共同利用の申請書には、期待される成果として、次のように書かれている。
- (期待1)
- 学外の防災研究関係者をまじえたフォーラムやブレーンストーミング的な検討により、新たな着想に基づく方法論を採用
することができる。
- (期待2)
- 切迫する災害危険度の速度増加に対処するため、防災研究の展開する速度を飛躍的に高めるための戦略を構築する。
この目的を達成したとは必ずしも言えないが、問題点の所在を所内に明らかにし、認識を深めた点では、間違いなく大きな一歩前進では
なかったかと考えている次第である。次年度からの成果に期待したい。
(研究代表 地震予知研究センター 川崎一朗)
(所内担当 地震防災研究部門 大志万直人)