実験所・観測所だより ― 穂高砂防観測所 ―

 去る9月8日から10日にかけて,理学研究科惑星地球科学専攻の博士前期課程を対象とした講義「大気圏物理学V」(林 泰一担当)の一環として,「降水量の観測とその土砂災害への応用」と題して,附属災害観測実験センターの穂高砂防観測所で,観測実習が行われました.講義内容は,穂高砂防観測所に勤務されている附属災害観測実験センター澤田豊明助教授による「土砂流出の観測」,理学研究科の余田成男教授による「最近の気象観測」,里村雄彦助教授による「タイにおける地形性降雨」,附属災害観測実験センターの林泰一助教授による「降水量観測の実際」の4つの講義を実施しました.さらに,澤田助教授の案内で,砂防施設の見学もあわせて行い,実際の現象の面白さや観測の困難さを実感する事ができました.この講義の合間の自由時間には周囲に広がる北アルプス周辺の広大な自然を満喫し,夕食のバーベキューパーティ,さらには温泉を楽しんで,2泊3日の実習を終えました.この観測実習は平成12年から夏休みを利用して,潮岬風力実験所と白浜海象観測所,穂高砂防観測所において,1年おきに実施することにより,気象観測を実体験することを目的としています.

大学院生に講義をする澤田助教授(於穂高砂防観測所)

(災害観測実験センター  林 泰一、澤田 豐明) 

21世紀COEプログラムに採択される

 本研究所は,このたび文部科学省による平成14年度21世紀COEプログラムの 「学 際・複合・新領域」分野に「災害学理の究明と防災学の構築」と題した研 究拠点形 成プログラムを応募し,採択された。このプログラムでは3つの基幹 的研究課題「都 市の災害脆弱性診断と生活空間の再生技術・戦略に関する研 究」、「防災情報の作 成・伝達と災害リスクマネジメントに関する新技術 の研究」及び「大気・水を結合 した流域の水・物質動態と地域密着型ハザードマップの作成」に着手する.そのため に所内に「21世紀COE研究運営委員会」を設立し、 今後5年間,国内外の研究者と協 力して各種の共同研究事業を全所的に推進 し,合わせて人材の育成と成果の普及に 努める体制をつくり,日本のCOEから 世界のCOEへと飛躍することを目指してゆく.