叙勲受賞

 高田理夫、角屋 睦両名誉教授は、11月3日に勲二等瑞宝章を受章された。
高田名誉教授は地震学、測地学及び自然災害科学に関する広範な分野の発展に、また角屋名誉教授は農業土木学及び災害科学をはじめ多くの分野の発展に多大の貢献をされた。

高田理夫名誉教授紹介

 先生は昭和26年防災研究所の創設に伴い、助手に任命され、昭和40年には教授に昇任、地震予知計測部門、後に地かく変動部門を担当され、さらに防災研究所附属屯鶴峯地殻変動観測所長、同宮崎地殻変動観測所長として、その設立及び施設の管理運営の重責を全うし、地震予知と地殻変動の研究に多大の成果を挙げ、測地学の分野での教育と研究指導においても優れた人材の育成に努められた。また、昭和58年5月から2年間防災研究所長及び京都大学評議員として大学の管理運営及び発展に貢献するともに、防災研究所附属資料センター長及び同附属水資源研究センター長として防災研究所の発展に寄与された。
専門の地殻変動の研究分野では、観測計器の開発を行い、大地震の前兆である異常地殻変動の検出を可能とする長期間の連続観測システムを確立し、現在の地震予知を目指した全国的観測網の展開の基礎を築かれた。さらに、地殻変動連続観測、測地学的方法による地殻変動の検出、観測並びにデータ解析システム開発に関する研究、地震前後の地殻変動の研究など地殻活動と地震発生との関係の究明に努め、地震予知の方法確立を目的に幅広い観測研究を続けられた。その中でも特に、昭和27年の吉野地震の前兆的異常変動に関する研究は、国内外において高い評価を受け、昭和40年度に発足したわが国の地震予知計画の立案に大きく貢献された。また、前記2観測所の設置をはじめ多くの地殻変動観測室の新設、整備に尽力され、昭和62年設置された日向灘地殻活動総合観測線においては、これまでの研究成果をいかんなく発揮され大きな役割を果たされた。
他方、地球物理学的手法による地すべり予知に関する観測研究にも力を注ぎ、地すべり災害の防止軽減にも大きな貢献をされた。

角屋 睦名誉教授紹介

 角屋 睦名誉教授は、平成12年11月7日皇居において勲二等瑞宝章を受章されました。角屋先生は、昭和27年3月に京都大学農学部をご卒業後、同大学院、大阪府立大学、宇都宮大学を経て、昭和34年3月京都大学防災研究所に任用され、昭和35年4月に助教授、昭和39年1月に教授に昇任され、平成4年3月停年退官を迎えられるまで内水災害研究部門を担当されました。角屋先生のご専門は、水文統計学、防災工学、農業水利学であり、洪水災害の防止軽減及び農業水利施設の安全計画設計に関する諸問題について独創的な研究を展開してこられました。
 こうしたご研究により、昭和38年に農業土木学会学術賞、昭和57年に京都新聞文化賞、平成4年に読売農学賞、平成7年に水文・水資源学会功績賞を受賞されました。特に、平成6年には、「極値水文学の展開と水利施設計画への応用に関する研究」が包括的に高く評価され、日本学士院賞を受賞されました。さらに、学会活動では、第11期農業土木学会長、日本農業工学会長を歴任され、農業土木学全般の発展に大きく貢献されました。
 このように、先生は研究教育の場において、常に先端的立場にあって指導的役割を果たされ、災害科学・農業土木学をはじめ多くの分野の発展に貢献してこられました。
 このような、先生の輝かしいご業績を讃えるこのたびの受章は、まことに慶ばしく、心よりお祝い申し上げる次第です。