中国における強震動予測と地震災害の軽減・防御

 当グループは、河北地域における地震活動予測、唐山地域における強震動予測、昆明地域を対象とした都市域の地震危険度評価及び北京・唐山地域を対象とした都市耐震計画の策定に関する研究を行う4つのサブグループからなる。平成6年3月、京都市において「大都市域における強震動予測と地震危険度評価」に関する日中共同ワークショップを行うと共に中国側の共同研究機関の一つである国家地震局工程力学研究所と向こう5年間の共同研究に関する合意書を取り交わした。

地震活動予測及び強震動予測
 研究分担者である気象庁の石川有二氏が国家地震局地球物理学研究所を訪問し地震活動予測システムの構築に関する協議・検討を行ってきた。既に唐山地域に展開されている強震動観測網に新たに2観測点を増設するため、平成3年3月に松波が訪中すると共に地震波の減衰に関する研究を行う。平成7年1月31口から3月31日まで工程力学研究所から金星助教授を防災研に招耳害し、強震動予測に関する共同研究を行う。

都市域の地震危険度評価
 1994年3月に中国側共同研究機関である中国国家地震局雲南省地震局において、本分担課題の具体的推進方法とスケジュール調整のための研究打ち合わせ会議が行われ、昆明市および大理市におけるマイクロゾーニングの研究と大理市における強震観測とを実施することが了承された。本年度は中国側研究者の計測器取り扱い方法研修会が京都で行われる。また、2月には同地域のバックグラウンドを理解するために、広島大学理学部矢野孝雄氏を講師に招き「中国南部の地質構造とテクトニクス」の研究会が開催される。

都市耐震計画の策定
 藤原は、実在建物の耐振性評価手法と履歴特性の適合性についてRCおよび木造を対象に、唐山技術工程学院王景明教授等は主として煉瓦造を対象に検討を行ってきている。
 また、藤原、鈴木は、ハルビン建築大学欧逆洋教授を中心とした研究グループと構造物の耐震信頼度解析および耐震信頼性設計法に関する共同研究を開始している。特に、鈴木は9月18日から10月3日まで中国を訪問している。ハルビン建築大学欧遊洋教授の研究グループとは、確率論的アプローチやファジー理論の研究について討論を行い、両者の主要テーマでもあり、共通の問題点や近い将来実施が見込まれる新しい信頼性設計法の展望などについて重点的に集中討議を行い、多くの重要な知見を得た。国家地震局工程力学研究 所においては、主として、地震危険度評価法などに関する討議を行った。また、今後の共同研究の取り組みや進め方について討議した。さらに蘭州鉄道学院の田瑛、朱東生教授らを中心に、制震構造物の研究について討議し、今後の研究課題である確率論的推定・制御の研究を進展させる方針を得た。