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4.7.2 研究領域の活動概要

V.地殻変動研究領域

助手 重富國弘、大谷文夫、吉村令慧、土居 光

@領域の研究対象
地震に関連した地殻変動の観測研究

A現在の主な研究テーマ
1)地震前・地震時・地震後の地殻変動に関する研究
2)地殻変動観測データの総合化に関する研究

B各研究テーマ名
(1)南海地震に先行した地下水位の研究(梅田康弘、重富國弘)
目的:想定南海地震の予測の高度化
方法:昭和南海地震など過去の巨大地震前に変化した地域の地下水調査
成果概要:昭和南海地震以前の巨大地震の前にも太平洋沿岸の地下水位が低下していたことが判明した。

(2)地下水位変化と地震発生の関連の研究(重富國宏)
目的:地下水位変化と地震活動・発生との関連を明らかにする。
方法:逢坂山観測所の観測坑道内に掘削した地下水観測井において、地下水位の連続観測を実施し、歪変化及び地震活動・発生との関連をしらべる。
成果概要:2001年8月25日に発生した京都市北部の地震(M=5.1、震央距離25km)の約10日前から、地球潮汐のM2分潮の位相に顕著な変化が見られたことを解析的に明らかにした。

(3)高歪速度帯における歪観測(大谷文夫、重富國宏、中村佳重郎)
目的:淡路島-新潟に伸びる高歪速度帯上の歪蓄積状況の詳細を明らかにするとともに、近隣地域の地震活動との関連を調べる。
方法:花折断層南部に稠密GPS観測網を設定、繰り返し観測により歪変化を求める。
成果概要:琵琶湖西岸断層帯も含む、該当地域の歪蓄積状況が明らかになりつつある

(4)測地観測と横坑内地殻変動観測データの総合(大谷文夫)
目的:時間特性において対照的な2方法データの統合で地殻変動観測データの精度の向上を図る。
方法:横坑連続観測の近傍あるいは同坑道内で光波測量を実施し、両データの総合解釈を行う。
成果概要:宮崎平野や天ヶ瀬観測室内の観測で、両データの調和性が確認され、coseismicな歪も観測された。

(5)高歪速度帯における歪観測(大谷文夫、重富國宏、中村佳重郎、技官 細  善信)
目的:淡路島-新潟に伸びる高歪速度帯上の歪蓄積状況の詳細を明らかにするとともに、近隣地域の地震活動との関連を調べる。
方法:花折断層南部に稠密GPS観測網を設定、繰り返し観測により歪変化を求める。
成果概要:琵琶湖西岸断層帯も含む、該当地域の歪蓄積状況が明らかになりつつある。

(6)地殻変動連続観測データベースの構築(大谷文夫、森井 亙)
目的:地殻変動連続観測データベースの構築とデータ収集システムとの結合により、準リアルタイム的なデータモニターを可能にすると共に、過去データの利用を推進する。
方法:電話線によるデータ収集システムとワークステーションシステムを結合して、データ表示、編集、格納などをシステム化する。
成果概要:Web形式のモニター、X−Windowsシステムによる編集などが可能となり、過去データの媒体変換も進めている。

(7)島弧周辺における電気伝導度構造モデリング(吉村令慧ほか)
目的:ネットワークMT法による前弧から背弧にかけての大規模電気伝導度構造の面的モデリング
方法:電磁誘導現象の数値シミュレーションコードの開発を行い、三次元構造が観測データに与える影響を評価し、ネットワークMT観測による長基線電場データを用いて、地殻・上部マントルの面的電気伝導度構造の推定を行う。
成果概要:グローバルスケールの電磁誘導解析シミュレータの開発を行った。また、その解の評価検討を行い、充分な精度に達していることを確認した。現在、セミグローバルスケールのシミュレーションに対応可能なように、シミュレータの高度化への取り組みを開始した。

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