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4.7.2 研究領域の活動概要

]U.鳥取観測所

助教授 大志万直人、助手 澁谷拓郎
助教授 渡辺邦彦


@分野の研究対象
 山陰地方の地殻活動の観測・解析

A現在の主なテーマ
1)鳥取県西部地震に関する総合調査
2)山崎断層の挙動の観測・解析
3)山陰地域の地殻深部比抵抗構造の解明

B各研究テーマ
(1)鳥取県西部地震に関する総合調査              (澁谷拓郎ほか)
 平成12年鳥取県西部地震の緊急余震観測を実施した。引き続いて全国共同による稠密合同観測、断層構造調査等の調査研究が実施されている。
 本震に10年余り先行して継続していたM5級地震活動の震源域は、本震の破壊領域と重複しない傾向にあった。本震の震源域の下約30kmには低周波地震が発生していた。これらは内陸地震の発生機構の解明に重要な示唆を与える。
 平成13年1月12日に兵庫県北部にM5.4地震が発生した。衛星方式による臨時観測を実施し、震源精度の向上をはかった。
 山陰の地震活動は、海岸に直交する個々の活動が海岸に平行に並ぶ傾向が確からしくなった。

(2)山崎断層の挙動の観測・解析(渡辺邦彦ほか)
 安富坑道内で、伸縮・傾斜の観測を継続実施している。平成12年5月から、約20km西北の山崎町大沢地区に設置された防災科技研の広帯域地震観測施設坑道内で、伸縮計3方向4成分の観測を開始した。同じ山崎断層系にあって、断層帯域内と強固な岩盤の変動を比較する目的である。
 山崎断層の周辺や山陰地方では、直前現象の観測と解析を目指して、地下水の観測も開始した。

(3)山陰地域の地殻深部比抵抗構造の解明             (大志万直人ほか)
 地殻の比抵抗構造は、地殻内流体(水)の分布を把握するために重要な情報をもたらす。平成12年度と13年度は、鳥取県西部地震震源域周辺、兵庫県北部、大山周辺での比抵抗構造調査のための広帯域MT観測を実施した。その結果、地震発生領域がある地殻の下部には低比抵抗領域が存在し、そうでない場合には低比抵抗領域が存在していないことがわかった。そして、大山など火山では地殻浅部に低比抵抗領域が存在している。

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