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4.6.2 研究領域の活動概要

W.地震動観測実験領域

@領域の研究対象

 強震動観測、地震波による地盤調査、大型構造物−地盤系の地震応答、水際施設の耐震特性の実験研究を目的としているが、現在、定員は付いていない。設立後は災害水象、土砂環境、気象海象の3研究領域が地震災害研究部門、地盤災害研究部門と共同して、以下のようなテーマで研究を行っている。

A現在の主な研究テーマ

1)土構造物の地震時塑性変形と耐震補強

メカニズム

2)津波の伝播、陸上遡上の数値シミュレーション

3)地震時の河川施設の治水機能

B各研究テーマ

 所内関連領域との連携のもとに、水中振動台を活用した耐水施設の耐震性能に関する実験的研究、及び水際空間の防災に直結した津波の陸上遡上や地震時の河川施設の治水機能に関する数値シミュレーション研究を行っている。特筆される研究成果は以下のとおりである。

(1)水際土構造物の耐震性能評価に関する研究

高地震活動域における堤防や防波堤などの防災土構造物の耐震性能評価の高度化に資するために、粒状土の現実的な繰返し塑性を考慮した動的有限要素解析コードを開発するとともに、その解析機能を拡張し、地盤域と外部水域の動的相互作用の評価も可能とした。これにより、震動による防波堤基礎地盤の塑性沈下の累積過程、ならびに水底地盤の液状化にともなう水・土境界面の動水圧増幅過程が明らかとなった。

(2)谷埋宅地盛土の動特性に関する研究

兵庫県南部地震における宅地盛土の被害実態の分析をうけて、谷地形に実施された盛土地盤の動特性を水中振動台を用いて系統的に調べた。その結果、谷の横断形状ならびに盛土内の地下水存在様式が造成盛土の耐震性能に深く関わることが明らかになった。