別表3 特定共同研究

課題番号 プロジェクト名 研究代表者
代表者の所属機関
所内担当者
15P-1 伝染性疾患の流行と気候・気象および気象災害の関係に関する統計的研究 林 泰一
京都大学
防災研究所
 この研究の目的は,コレラやデング熱など,熱帯地方の伝染性疾患の発生と,気象学的,気候学的条件との関係を調べることである.熱帯性伝染性疾患の発生に周期性があることは,これまでにも定性的には報告されてきた.しかしながら,その発生を気象条件と結びつけた研究は少なく,定量的な評価はほとんどない.我々は,これまで,バングラデシュにおいてサイクロンや洪水などの発生に関する研究を進めてきて,1950年代から約半世紀にわたる気象資料のデータセットをほぼ完成した.一方,バングラデシュ国際下痢性疾患研究センターには伝染性疾患の患者の統計に関する資料が整理されている.ここでは,このように気象関連と医学関連の両方の資料がそろっているバングラデシュを例にとって,雨量,気温,湿度,河川や氾濫湖の水位などの気象水文資料と伝染性疾患の発生の資料を統計的に解析し,両者の関係を定量的に評価する. モンス−ン(雨期)の始まりや後退とコレラの発生との関連,さらに,熱帯性低気圧(台風など),洪水などの気象災害の発生とその二次災害としての伝染性疾患の発生について検証する.  
研究期間: 2003.4.1〜2006.3.31

15P-2 大都市圏の地震時斜面災害危険度評価法の研究開発 佐々 恭二
京都大学
防災研究所
 平成14年1月に国際斜面災害研究機構(ICL)が設立され、平成14年度よりUNESCO/ICL合同の国際斜面災害研究計画(IPL)が開始された。防災研究所はICL,IPLの設立に主体的に関わったため、本研究所がIPLの事務局を務めIPLの企画調整を実施すると共に、斜面災害研究の中核を担うことが期待されている。本申請は、21世紀前半に73-107億人に増大すると想定される人口増大と地域開発の拡大に伴う斜面災害の軽減のために、最も重要かつ緊急の研究課題であり、しかも最も解決が困難な「地震時の大都市圏での斜面災害危険度評価法の開発」を目指すものである。本研究は、UNESCO/京都大学/ICL合同で平成15年度より実施予定の「社会と環境のための斜面災害危険度軽減に関する国際ネットワーク」において、京都大学を中心とした我が国の斜面災害研究グループが、学術面において中核的責務を果たそうとするものである。  
研究期間: 2003.4.1〜2006.3.31

16P-1 光ファイバーネットワークを利用した準リアルタイム水防災技術に関する共同研究
Collaboration Research on Quasi-real Time Flood Disaster Prevention Technology by Using High-speed Optical Fiber Cable Linke d between DPRI and the Yodo River Office, Ministry of Land, Infrastructure a nd Transport
中川 一
京大防災研
災害観測実験センター
 本研究は、国土交通省淀川河川事務所が河川堤防沿いに敷設している光ファイバーネットワークを防災研究所のネットワークシステムと接続し、官学共同のパイロット・プロジェクトとして災害観測情報・被害予測情報を準リアルタイムに発信する技術開発を目指そうとするものである。国土交通省の有するデータ収集力と京都大学防災研究所が有するデータ解析力をネットワークを通じて有機的に連携するところに特徴がある。本研究は平成14年度より、申請者らと淀川河川事務所とが協議を進め、光ファイバーネットワークシステムの接続については京都大学と国土交通省との間で合意に達しており、共同研究の開始を待っている段階である。本研究は、以下の7つの研究課題から構成されており、防災研究所としての特色を遺憾なく発揮する斬新な研究であり、本研究の社会的意義は極めて大きいと確信する。1)堤体の安全度に関する実時間評価法の研究開発、2)河川堤防の耐震性能評価と性能向上対策に関する研究、3)地盤統計学を利用した堤体周辺域の降雨浸透量と地下水面の分布に関する実時間推定システムの開発、4)分布型物理水文モデルによる実時間洪水・土砂流出予測システムの開発、5)ITVカメラ映像を利用した流量評価手法の開発、6)河床堆積構造予測のための河川水質の連続自動観測システムの開発、7)準リアルタイムハザードマップ作成システムの開発


研究期間: 2004.4.1〜2007.3.31

16P-2 防災性と文化性を備えた木造都市創出の実践的方法論に関する研究
A research on practical methods for realizing wooden cities prepared against disaster and cultured
田中 哮義
京大防災研
巨大災害研究センター
 我々日本人が発展・継承してきた伝統的な木造建築文化は、技術的・芸術的に世界に類を見ない高みに達している。しかし、火災や地震等の災害に対する脆弱性から、近代以降、新構造技術(RC、鉄骨)の導入と都市の集密化・高層化、また法規制などを通じた不燃化の促進を背景に、その姿を都心部から消しつつある。特に、木造文化都市として世界的に著名な京都でもその潮流は顕著で、急速に都市景観の悪化が進んでおり、このまま放置され続ければ程なく風情・風格に乏しい醜悪な都市に成り果てかねない。都市景観ほど国や地域の歴史、文化、技術、国民性を端的に象徴し得るものはないことを考えると、これは由々しき事態だと言えよう。我国の都市が風情・風格を備えた独自の景観を維持・再生するためには、長い歴史を通して洗練されて来た木造建築の再評価と、それを利用した実践的な都市づくりが最も有効と考えられ、そのための実践的手法が望まれている。
研究期間: 2004.4.1〜2007.3.31

17P-1 降雨による崩壊危険度広域評価−崩壊実績と地質・地形に基づいて
千木良 雅弘
京大防災研
地盤災害研究部門
 本研究の目的は、降雨による崩壊危険度広域評価を、詳細調査をせずとも可能にする論理を構築することにある。近年の1998年福島、1999年広島、2003年の九州の災害に示されるように、豪雨で数多くの崩壊が発生し、人名を奪い、多大の被害を引き起こしてきた。ところが、従来主に行われてきた決定論的あるいは統計的手法による危険斜面特定技術は、地盤の多様性を克服できないため限界に達している。一方、我々の経験は、同様の降雨履歴を有していて、かつ同様の強雨を受けても崩れやすい地質とそうでない地質があることを教えている。また、発生する崩壊のメカニズムは地質によって異なっていることも明らかになりつつある。本研究では、このような過去の降雨と崩壊実績に注目し、地質−表層地質構造−降雨浸透−崩壊の発生、を論理的に結びつけ、詳細調査をせずに崩壊危険度を基盤の地質と地形によって広域的に評価する手法を確立する。
研究期間: 2005.4.1〜2008.3.31

17P-2 歴史的建築物の強風被害の実態と対策について
河井 宏允
京大防災研
大気災害研究部門
 昭和9年の室戸台風によって、全国で320棟の国宝級建築物が被害を受けた。大阪の四天王寺の五重の塔が倒壊し、京都でも、最大瞬間風速 42.1m/s,平均風速 30.5m/s の強風によって213棟の国宝級建築物が被害を受けた。最近でも、台風9119号によって厳島神社能舞台が飛ばされ、台風9807号によって室生寺の五重の塔が壊れている。これらの被害の60%程度は強風による倒木が原因であるとみられているが、歴史的建築物は周辺の木々を含めた歴史的環境として保存されるべきものであり、強風で倒木が予想されるからといって簡単に伐採できるものではない。したがって、台風などの強風から歴史的建築物の被害を防ぐには、建築物自体の耐風性能の確認と対策の他、木々を含めた周辺の地物の耐風性能の確認と対策を検討しなければならない。 本研究では、(1)台風来週時にどのような強風が吹いたかを、地形の影響を含めて数値シミュレーションによって解明することにより、過去の台風による歴史的建築物の被害の状況と原因を明らかにする、(2)風洞実験によって測定した歴史的建築物に作用する風力を用いて構造解析を実施し、歴史的建築物の耐風性能を検討する。(3)薬師寺の東塔と西塔において強風時の応答を測定し、歴史的建築物の劣化が耐風性能に及ぼす影響を検討する。最後に、(6)建築物周辺の木々などにどのような風力が作用するのか、その風力から木々が倒壊しないためにどのような対策が有効なのかを検討する。
研究期間: 2005.4.1〜2008.3.31

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