・研究集会名(番号) 地殻の不均質構造と内陸大地震の発生  (9Kー4)

・研究代表者  岐阜大学教育学部   佐々木嘉三

・所内担当者  伊藤 潔

・開催期間   平成9年12月11日〜平成9年12月12日

・開催場所   京都大学防災研究所

・参加者数   72名


 

概 要

標記研究集会が、平成9年12月11、12日の両日、京都大学防災研究所で開催された。  2日間にわたる研究集会には、全国各地から70名以上の参加者を迎えて、最新のデータ にもとづく研究成果を中心に27報の研究発表が行われた。これらの報告と関連する討議は 時間を大幅に延長して熱心に行われ、参加者全員にとって極めて意義のある集会となり、 当初意図していた成果を十分に達成できたものと評価している。 地震予知計画が始まって既に30数年、兵庫県南部地震の大災害を目のあたりにして、地 震予知研究の成果をいかに評価するかは研究者個々によっても大きく異なる点があるのは やむを得ないことであろう。しかし、これらの成果を否定的に、あるいは肯定的に評価し ようと、予知研究の進捗状況が「社会から期待されているレベル」にはほど遠いという意 味では、地震研究に携わる者が同じ認識を持っていることは確かである。  このような現状をふまえ今回の研究集会は、地震の発生場を規定している構造、特に不 均質な構造と応力集中・内陸大地震の発生とをどのように結びつけて見ることができるか を検討しようとしたものである。すなわち、構造を単なる地球内部のGeometryとして理解 するのではなく、Dynamic に変形し進化するものとして捕らえ、そこに現れた活動の推移 ・異常現象を物理現象として理解し、地震の発生との関係を検討することを目的としたも のであった。この極めて大きな課題は、測地学審議会地震火山部会から本年6月に出され た「地震予知計画の実施状況等のレビューについて」の中の今後の展望でも大きく取り上 げられている<目標と方針>の一つであり、予知研究の根幹を成すものである。今回の研 究集会が、その方向へ隊列を作って歩み出す一歩になったということを確認しておきたい。