・研究集会名(番号) 火山噴火時の防災に関する研究会  (9Kー3)

・研究代表者  鳥取大学地域共同研究センター   宮本邦明

・所内担当者  高橋 保

・開催期間   平成9年11月16日〜平成9年11月18日

・開催場所   鹿児島大学・桜島

・参加者数   約120名


 

概 要

 研究集会「火山噴火時の防災に関する研究会」は、平成9年11月16日から3日間にわたって 開催された。16日と17日は講演会とパネルディスカッションが、18日は桜島でのフィールド・ エクスカーションがもたれた。延べ約120人が参加した。  研究集会では、京都大学防災研究所高橋保教授の基調講演「火山防災へのアプローチ」に続 いて、火山防災の個別要素である、火山活動と噴火予知、噴火災害のかなり大きな部分を占め る火砕流についてその流動機構と数値シミュレーション手法、火山防災対策、危機管理手法、 災害時の情報伝達、 避難支援システム などについて話題提供があった。また、火山災害の異 なった側面である、火山ガスや火山灰の人体に及ぼす影響について、特に火山灰と健康との関 連についての話題提供のほか、雲仙をはじめとする九州地方の火山地域における災害事例の話 題提供があった。  これらの話題提供をベースに、パネルディスカッションで討論が行われ、火山防災のため個 別技術の現況と今後の研究課題や展望についての理解が得られるとともに、総合化された防災 システムとしての観点が重要であるという認識が確認された。また、火山を様々な資源として の観点から見たときの防災の重要性や、さらに一歩進んで、火山地域の有効利用技術と一体と なった防災技術の確立の重要性、そのための、総合化された火山工学の確立が重要かつ必要で あるという認識が得られた。  ここで話題提供され議論された内容は非常に広範な問題を含んでおり、かつまた、それぞれ の問題がまだ研究途上にある場合が多く、問題間の相互の関連が十分に理解されていないとい った事情もあって、個別の研究のさらなる進展と総合科学としての取り組みが必要であろう。  問題が広範な領域にわたっていることと、それに比較して研究集会としての時間が十分にと れなかったことから、必ずしも明確な成果を得るまでには至っていないが、本研究集会を通じ て研究者間の問題意識の疎通と、それぞれの研究領域の関連が具体性を持って理解されたもの と考えている。また、本研究集会を機会に、境界領域を含む研究者間の新たな共同研究が実施 され、成果が出されることを期待して研究集会の報告としたい。