徳島地すべり観測所


 徳島地すべり観測所は徳島県三好市池田町にあり,四国山地と阿讃山地に挟まれた吉野川の中流部にあります.四国山地も阿讃山地のいずれも硬い結晶片岩や白亜紀の堆積岩で構成されます.しかし,いずれの山地でも大規模な地すべりが多数発生しており,地すべりによって緩斜面となった斜面上に集落が立地しています.これら山地斜面の上部に位置する集落は「空の集落」とも呼ばれ,夜になると家々の明かりでまるで星空のような景観を作ります.空の集落は四国の山間部に特徴的な景観であり,集落には地すべりと共生してきた古い歴史と伝統があります.

 本観測所はそうした地すべり多発地の中の地すべり観測の前線基地として設置されました.その歴史は50年以上にもなります.1966年に徳島県からの寄付により観測施設が設置され,その後1969年に防災研究所の付属施設となりました.その後1978年に拡張され,現在では2棟の観測・研究施設と倉庫,宿舎を有する施設となっています.現在では准教授1名と事務補佐員1名が常駐しています.また,2015年からは毎年秋に京都大学の研究室一斉公開である京大ウィークスの一環として,本施設も希望者に一般公開されており,さらに地すべりや付近に位置する中央構造線の活断層の地形や露頭の見学会も実施されてきています.

 本観測所の業務としては,四国を中心とする地すべり,およびその他災害に関わる地形・地質学踏査・観測研究の支援も挙げられます.これまでに国内外の研究者にも利用されてきました.現在では和室2室を宿泊に利用可能です.さらに,洗濯機,シャワー付きの風呂,キッチン,布団なども備えています.京大学内LAN回線の他,学外大学の学生や教職員はeduroamを経由して光回線による高速インターネットも利用可能です.付近にはコンビニや飲食店なども多く,山間地の割にはそれほど不便しません.そして高速道路やJRへのアクセスも良好です.