一般研究集会16G-07

「低周波地震の発生過程」

 一般研究集会「低周波地震の発生過程」を2005年2月23日〜24日に行った。京都での開催も考えたが、「やはり火山の近くで」という希望が多く桜島で開くことになった。同様の研究集会は2001年に桜島において開催された研究集会「マグマ活動と火山性地震・微動」以来およそ3年ぶりのことになる。前回の研究集会は、火山活動に伴う地震および微動の特性に重点を置き、その集大成として「日本の火山性地震・微動のデータベース」が出来上がったが、今回の研究集会は広い意味の低周波地震に着目し、深部において発生する地震から火山噴火に伴う地震まで取り扱った。参加者は28名で18件の研究発表があった。

 まず、研究代表者である東北大学の西村太志氏が流体で満たされたダイクとそれに繋がる断層を仮定したせん断開口割れ目モデルについて紹介し、断層運動によってダイク内部に圧力変化が生じ低周波振動が発生することを示した。続く非火山性の低周波地震のセッションでは、深部低周波地震、微動について各地で観測された波形例、発生場所や発生頻度、活断層の活動との関係等について講演が行われた。噴火活動に伴い発生する低周波地震のセッションでは、浅間山の噴火に先行する低周波地震、諏訪之瀬島火山の噴火に伴う超長周期パルスや噴火地震、三宅島火山の低周波地震や空気振動についての発生場所や発生メカニズムについての講演が行われた。

 また、ポスター発表では、インドネシア・パパンダヤン火山で発生する単色地震や桜島のハーモニック微動の波形の特徴や発生メカニズムについての研究発表があり、活発な議論が行われた。研究集会2日目には活動的火山で発生する低周波地震のセッションが行われ、浅間火山、草津白根火山、阿蘇山、樽前山、雲仙岳の低周波地震、微動の震源分布やその発生頻度、火山活動との関連について講演が行われた。

 本研究集会のアブストラクトは下記のサイトにあるので参照されたい。
h t t p : / / w w w . d p r i . k y o t o -u . a c . j p / . k a z a n / 1 6 k 0 7 /16k07report.html
(火山活動研究センター 井口正人・為栗 健)
懇親会において