第1回日米研究調整委員会の報告


 日米共同研究「都市地震災害の軽減」に関する第1回日米コーディネーション委員会(研究調整委員会)が、1998年10月7日(水)午後および10月8日(木)午前に東京大学山上会館会議室で開催された。

 出席者は、研究調整委員会委員のほかに研究を実施している研究者がオブザーバーとして出席した。アメリカ側の研究調整委員会から、
Mete A. Sozen (Purdue University、米国研究調整委員会主査)、
Joseph Penzien (University of California at Berkeley)、
James O. Jirsa (University of Texas at Austin)、
Steve A. Mahin (University of California at Berkeley)、
Ahmed Elgamal (University of California at San Diego)、
Masanobu Shinozuka (篠塚正宣、University of Southern California)
各委員であり、オブザーバーとしては
Robert Frosch 助教授 (Purdue University)、
Wilfred D. Iwan 教授 (California Institute of Technology)、
S. Chi Liu 部長(National Science Foundation)、
L. W. Lu,教授 (Lehigh University)、
Helmut Krawinkler 教授(Stanford University)、
Masanobu Miyahara (宮原正宣、National Science Foundation, Tokyo Office)、
James K. Wight 教授 (University of Michigan)
である。日本側研究調整委員会から、
小谷俊介(主査、東京大学)、
岡田恒男顧問(芝浦工業大学)、
入倉孝次郎(京都大学防災研究所)、
亀田弘行(京都大学防災研究所)、
国生剛治(中央大学)、
森田耕次(千葉大学)、
村上處直(横浜国立大学)、
大町達夫(東京工業大学)、
佐藤忠信(京都大学防災研究所)、
山崎文雄(東京大学防災研究所)各委員の他に、
船戸照久(文部省)、
林春男(京都大学防災研究所)、
家村浩和(京都大学)、
緑川光正(建築研究所)、
勅使川原正臣(建築研究所)、
東畑郁生(東京大学)、
塩原等(東京大学)がオブザーバーとして出席した。

 委員会の議事を簡単に経過に従って紹介すると、
10月7日(水)
 13:30-14:00 開会式において、米国NSFのLiu博士と日本側実行委員会亀田委員長がこれまでの経緯を簡単に紹介した。
 14:20-16:30 日本側の研究計画について、性能基盤設計に関する研究では、入倉孝次郎教授、東畑郁生教授、小谷俊介がそれぞれのチームの紹介した。高知能材料および新技術の研究について家村浩和教授と佐藤忠信教授が、高性能社会基盤システムの研究について山崎文雄教授、都市災害マネジメントの研究については林春男教授がそれぞれ紹介した。
 16:30-17:15 米国側の研究については、J. O. Jirsa教授が性能基盤設計に関する研究の概要を紹介し、J. K. Wight教授が担当している研究テーマを説明した。A. Elgamal教授が地盤工学の研究について概要を紹介し、S. A. Mahin教授が鋼構造に関する研究の概要を紹介した。
 夕刻には、懇親会が開催された。
10月8日(木)
 09:30-11:00 米国の研究代表者であるW. D. Iwan教授およびH. Krawinkler教授が直下型地震動の特性に関する研究を紹介し、篠塚正宣教授が高知能材料・システム関係の研究概要、M. A. Sozen教授が社会科学関係の研究概要を紹介した。
 11:00-13:00 今後の日米共同研究の進め方について、出席者の意見交換が行われた。その結果、以下のような決議が採択された。
 (1) 「都市地震災害の軽減」に関する日米共同研究は両国における大学の研究のつながりを強化することに焦点をおいたものである。しかし、政府および産業界の研究機関の研究者および技術者もこの事業に参加することを推進すべきである。
 (2) 米国側の研究代表者は日本側の14人のチームリーダーと連絡をとり、両国で採択された研究課題に関する研究協力について相談すること。ただし、計画をたてるに当っては、それぞれの国における得意な条件および研究の必要性については十分に配慮すべきである。
 (3) 米国側研究代表者と日本側チームリーダーはワークショップを企画し、研究成果の交換を促進することに務める必要がある。これらのワークショップを開催する費用を確保する仕組みを本研究計画に盛り込むが必要である。ワークショップでは会議録を出版し、一般への情報提供に努力すべきである。
 (4) 両国の研究調整委員会はそれぞれの国において望ましい研究分野に関する指導性を発揮し、共通の部分の研究に関する連絡を押し進めるようにしなければならない。また、両国の目標が整合するように研究者に影響力を発揮するように務めなければならない。
 (5) 両国間の研究計画に中国側の研究者および技術者が参加することは拒まない。

 日米共同研究の研究調整委員会後に、今後の日本側の研究を進めるための会議が開かれた。
(文責:小谷俊介)