Flood

質問
最近,砂浜が少なくなってきているのは何故ですか?

回答
実際にその通りです。国土交通省の試算では年間160haの海岸が侵食されているそうです。確かに「最近,砂浜が少なくなってきている」のです。
この原因の主なものは次の3つです。
1.埋め立てや道路建設等による砂浜の人工的な消失
2.地球温暖化による海面上昇や,地盤沈下等による相対的な海水準の上昇が引き起こす海岸線の後退
3.河川からの流送土砂の減少(漂砂源の減少)と海岸構造物の築造による漂砂の連続性の分断
1,2の理由はすぐ理解できると思いますが, 3.に関しては説明が必要だと思われますので,以下に漂砂と海岸侵食,海岸侵食対策について簡単に説明しましょう。
白砂青松の美しい景観,海浜レジャーの場,生活空間,砂浜はわれわれのかけがえのない財産です。さらに,砂浜は自然環境維持機能の他,優れた消波機能を持つ天然の海岸防護施設でもあります。高波浪に対しても,海面上昇に対しても,海浜の変形という形で柔軟に対応してくれる機能を有しています。
海域において,波や流れによって海底の砂が運ばれる現象,または砂そのものを「漂砂(ひょうさ)」と呼び,この砂の供給源を「漂砂源」と呼びます。漂砂が空間的に連続しておれば,すなわち,入ってきた漂砂と出て行った漂砂の量が同じであれば砂の量の収支はゼロで,海底の地形は変化しません。しかしながら,どちらかが多ければ,ある場所での砂の収支は多かったり(堆積),少なかったり(侵食)して海浜地形が変化します。海浜の広い範囲で侵食がおこれば,その海域の水深は深くなり,海岸線(汀線)が陸側に後退します。これが「海岸侵食」です。
一般に漂砂源としては河川からの土砂の供給と海岸の崖の侵食による砂の生成があげられます。前者は河口デルタ海岸を形成し,後者は両端に岬を持つ「ポケットビーチ」と呼ばれる安定な海浜を形成することが多いようです。新潟海岸は信濃川の河口デルタ海岸(写真1)で,和歌山県の白良浜(写真2)はポケットビーチの代表的な砂浜です。
日本の多くの河口デルタ海岸は,急峻な河川地形に起因する短期間集中型の流砂(河川での土砂移動)の特性と,波浪,吹送流(風により発生する流れ)を発生外力とする沿岸海域での漂砂の特性とによって海岸地形の変化特性が決まります。河川流送土砂量の変化が海岸地形の変化に短時間に応答するのが,わが国の海岸の特徴です。これは,地形の緩やかな米国の東海岸や欧州の北海沿岸の海岸とは全く異なる漂砂源-地形変化の応答関係で,日本と欧米とのこの相違は,海岸侵食対策,海岸保全,漂砂管理を比較,検討する場合には非常に重要です。
一方,漂砂源の観点から海岸侵食を考えると,河口部において流砂から漂砂への分配機構の崩壊が侵食を発生,助長させていると言えます。河川から出てくる土砂は,洪水流(沖方向へ土砂を移動させる)と波浪(岸方向へ土砂を移動させる),海浜流,吹送流および潮流(沿岸向へ土砂を移動させる)との力関係で,堆砂する量と沖へ流失する量とが決まります。洪水時に流出した河川からの土砂は,河口部において,「河口砂州」および「河口テラス」の形で堆積(貯砂)されます。河口部に堆積した砂礫は,波浪,吹送流および潮流のような沿岸方向や岸方向への輸送力によって海岸に再配分されます。日本の多くの河口海岸の漂砂供給はこのような形態をとっていると考えられるので,河口部での砂利採取等,河口砂州および河口テラスの形成を阻害するような人間活動は,河口デルタ海岸の深刻な侵食を発生させます。また,多くの河口海岸での例に見られるように,河口部での港湾の建設は河川からの周辺海岸への漂砂の供給を阻止し,漂砂下手側海岸の侵食を引き起こします。このような海岸侵食は,河口デルタの変形過程(縮小過程)で,河口部に近いほど大きな汀線後退が生じ,深刻な侵食海岸が発生します。
最近では,「養浜」という用語が新聞紙上にも登場するようになっています。これは,よそから砂を持ち込んで海浜を回復,増強する工法で,欧米では1950年代には養浜が海岸保全の工法として定着し,最近では養浜工だけで海岸保全を行い(ソフトビーチ化),堤防や護岸等のハードな構造物を排除する考え方が定着しています(写真3)。しかしながら,海浜は常に動的で,嵐の時に侵食され(沖方向に海浜砂が流出し),「うねり」(波高・波長比の緩やかな波)により回復する(岸方向に海浜砂が戻ってくる),「変動」を繰り返しています。このため,「海岸に毎年のように砂を入れているが,結局流失させているのでは?」との疑問が発生するのは当然であり,この疑問は正しいのです。そこで再度養浜し,海浜を回復させるのです。これを「維持養浜」と言います。維持養浜とはこのような海浜砂の岸沖方向のバランスが崩れ,浜幅が短くなったら人工的に砂を投入することで,次の嵐で海浜が後退しても災害に堪えられるくらいまでの浜幅(米国では60mを設定)を確保することです。海岸構造物には永久的なものは少なく,大きな嵐が来襲すれば破壊され,災害復旧として修復されます。維持養浜とは,この災害復旧に相当するものであると考えればよいでしょう。ハード工法かソフトビーチかは費用便益により決定され,養浜砂コストの高い日本においては,今後欧米型の養浜が実施される可能性は少ないと思われますが,安定海浜工法と養浜の組み合わせの形で,構造物と併用した養浜が増加するものと思われます。
安定海浜工法とは,離岸堤や人工リーフのように沖で波を消して波浪災害や砂の流出を抑えようとする方法とは異なり,ヘッドランド周辺の波の平面的な作用で安定な自然砂浜を形成させようとする工法です。日本ではヘッドランド工法とも呼ばれ,茨城県の大野鹿島海岸,神奈川県の西湘海岸等多くの海岸に適用されるようになってきました。この工法の良さは,自然の法則に逆らわないで高波浪のエネルギーを消散させ,うねりによる海浜砂の岸への堆積機能をフルに活かしている点です。これを,養浜と併用すれば,ヘッドランド(ブロック等で作った人工の岬)により養浜砂の流失が制御でき,効率的な自然海浜の造成が可能となります。(災害観測実験センター・気象海象)

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質問
高潮と津波はどのように違うのですか?

回答
どちらも周期の長い海水面の変動ですが,発生外力や発生機構が違います。
高潮は,台風などの熱帯性低気圧に伴う気象じょう乱(アメリカ,オーストラリアなどではハリケーン,インド洋沿岸ではサイクロンなど)や温帯性低気圧(北海沿岸でのゲールなど)により海面が異常に上昇する現象です(図1)。一方,津波は地震による海底の地殻変動や,海岸部での大規模な地すべり,または海底火山の爆発などによって発生する,周期が数分から1時間程度の波のことです。 以下に高潮と津波について簡単な説明をしておきます。
高潮の発生機構は,「吸い上げ」と「吹き寄せ」とで説明されます。「吸い上げ」は,大気圧の勾配によって海水が流動し,気圧の低いところで海面が上昇し,高いところで低下するようになる現象で,海面が吸い上げられるように変動するため吸い上げ効果と呼ばれます。海水流動の終わった状態(静的状態)では1hPaの気圧低下で0.99cmの海面上昇を起こします。「吹き寄せ」は,強風による海面でのせん断応力の作用により海水が流動することで生じる水位上昇で,流れが陸地などの固定境界で堰止められると大きな海水面の上昇を起こします。このように,強風により海水が陸に吹き寄せられて生じるので吹き寄せ効果と呼ばれ,せん断応力と水面勾配とが釣り合って海水流動が静止した定常状態では,海面上昇量は風速の二乗,海域の長さに比例し,水深に反比例します。海面せん断応力による海水流動の機構には,波浪の寄与が重要です。
台風の風域場は,北半球と南半球では地球自転の効果のため,それぞれ左,右廻りの旋風となるため,高潮が発生する海域において陸地と低気圧との位置関係により,発生する高潮の特性が相違します。北半球では対象海域の西側を台風が通過すると,吹き寄せ効果のためその湾奥での高潮は大きくなります。また,海域(湾の大きさ)と風域との空間スケールの関係によっても吹き寄せ効果による高潮の特性は異なります。わが国の高潮とベンガル湾での高潮との相違はその典型的な例です。図2に示すように,わが国の高潮は台風のスケールに比べて湾のスケールが小さいケースで,ベンガル湾での高潮はその逆のケースです。日本列島の太平洋沿岸のように,陸棚は発達していないが南向に開口した100km程度のスケールの湾の場合には,台風の経路によっては湾奥に向かって一方向に吹き寄せられ海水が湾奥に集積する場合に高潮が大きくなります。一方,気象じょう乱に比べて同程度かそれ以上の広がりを持つ大陸棚の場合には,吹き寄せにより形成される移動する大規模水平渦(高潮循環流)が海岸線により堰き止められると大きな高潮が発生します。図3のように,最大高潮偏差と大陸棚の地形特性との間に明確な関係が見出されるのはこのためです。この図は,台風の中心気圧P0と観測された高潮の最大偏差と陸棚の幅Bsとの関係を示していますが,陸棚の幅が広いほど大きな高潮が発生することがわかります。このような大陸棚上での高潮の増幅機構を数値実験で調べてみると,陸棚幅Bsと台風の最大風速半径rmとが同じ程度のスケールになると,図4のように,陸棚上での高潮は急激に増幅されることがわかります。
図5に過去200年間における発生要因別の津波の発生回数を示します。これより,津波の9割以上は地震断層による海底地盤変動により発生していることがわかります。地震時に海底の地盤が変動し海水を変形させて津波が発生します(初期波形)。この海水面の擾乱が自由進行波として変形しながら伝播し,やがて海岸に押し寄せると津波と認識されるようになります。また,津波は火山の噴火や,地すべりによっても発生しますが,火山の噴火により発生する津波(噴火津波)は大きな被害を伴うことが多いのです。1883年のインドネシア,クラカトア火山の噴火津波は36,000人の犠牲者を出しました。また,火山の噴火は山体崩壊を発生させ,地すべりに伴う土石流により発生する津波が災害を起こすことがあります。このような津波は,地震による断層津波に比べて発生頻度は極めて少ないのですが,被害の規模は大きく,1792年の長崎県島原の眉山崩壊による有明海津波では15,000人,1640年の北海道駒ヶ岳の内浦湾津波では700人の犠牲者が出ています。
津波を発生させる地震は,プレート境界地震であり,わが国の近海では,北海道-千島沖,三陸沖,関東(相模,駿河・南海トラフ),東海・南海,および日本海東縁に集中しています(図6)。津波を発生させるような大地震の場合,断層の長さは数十kmから数百kmに達するため,高々数kmの水深に比べ水平方向のスケールがはるかに大きいため,津波の初期波形は地殻の鉛直変位と良く似た水面形状となります。このため,津波伝播の数値計算では,弾性体理論に基づく地震断層モデルで推定される地盤の永久変位の鉛直変位量を津波の初期波形として与える静的解析法が用いられています。
津波は,長波(波長Lが水深hの25倍より長い波)として近似できる自由進行波で,その伝播速度cは重力の加速度gと水深hとを用いて,c=√ghで計算できます。 すなわち,津波の伝播する速度は,津波の周期には依存せず,水深が深ければ深いほど早くなります。具体的には,水深200mで160km/hrの波速, 水深2,000mで504km/hr, 水深6,000mでは873km/hrとなり,外洋では新幹線よりも早く,深海底上ではジェット機並みの速度で伝播するのです。また,津波の周期Tと波長λとの関係はλ=T√ghとなるので,水深6,000mでの津波の周期が約60minであれば,その波長は873kmとなります。このように,津波は水深の影響を強く受けるため,海底地形の変化に応じて屈折し,津波が集中したり,発散したりして,波高の高低が生じます。
沿岸域に津波が侵入してくると水深が浅くなり波高が増大し(浅水変形),V字型の湾の奥では津波が増幅されます。このような津波の波高変化は津波のエネルギーフラックスの保存則で計算できます。これによれば,幅Bの湾口(I)と,幅bの湾奥(II)との波高の比は次式のようになります。
H1/HB = (b/B)1/2(hu/hl)1/4
この関係はグリーンの法則と呼ばれ,水深が浅くなり,湾の幅が狭まれば波高が増大することを示しています。例えば,水深2000mで発生した津波が水深20mの浅瀬に到達したときには,水深の減少により(浅水変形),波高が約3.16倍になり,湾の幅が1/4になれば波高は2倍になります。(災害観測実験センター・気象海象)

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質問
水害の実験では流れをどのような方法で測るのですか?

回答
研究所では,いろいろな実験が行われていますが,ここでは都市域での水害に関する実験を例に挙げて説明します. 私たちが生活している都市には様々な構造物、例えばビルやマンション、道路や橋などが多く存在しています。このような複雑な状況を再現するための方法の1つとして,市街地の模型を作り,そこに水を流すことで水害を再現しています。  水害時の被害を決定づけるのは、氾濫水の流速や水深といったものです。まず流速の測り方ですが,一番簡単な方法は流れている水の水面にフロート(浮き)を浮かべ、ある一定の距離をフロートが移動するのに要した時間を測る方法です。しかしこの方法は人間が目で見て行うことから正確性には若干欠けているといえます。したがって,流速計などの測定機器や,ビデオなどの映像機器を用いて流速を測ります.次に水深の測り方ですが、物差し等で直接測る方法と,高さなどから求める間接法が使われます.間接法では,精密な計測機器を用いますが,その場合は,水面や水底の高さをセンサーの電気信号として取り出し,あらかじめ求めておいた電気信号と高さとの関係を使って実際の高さを求め,それらの値から水深を求めます.(災害観測実験センター・災害水象)

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質問
水制とは何ですか?また、どのような働きをするのですか?

回答
水制とは河岸から川の中央に向かって突き出した構造物で、流れの緩いところでは木杭など、流れの急なところでは石やコンクリートブロックなどを用いて造られます。
その主な働きとしては水流の向きを制御することによる河岸の保護、航路の維持があります。水制によって水の流れが川の中央に集中し、中央部での流れは速くなり川底が削られて航行に必要な水深が確保され、逆に河岸付近での流れは緩く、河岸が削られにくくなり川幅を一定に保つことができます。
また、近年では水制付近での流れが緩いことから様々な生物が生息・産卵などを行う場として機能していることも明らかになり、自然環境の復元・景観の向上など、環境面での価値が見直されています。(災害観測実験センター・災害水象)

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質問
河川で流すことのできる能力を超える洪水が起こるとどうなりますか?これに対して,どのような対策が考えられていますか?

回答
明治以来,連続した堤防を築き,洪水を氾濫させないような治水が行われたため,治水事業が進展するにつれて洪水流量が増大しました。戦後は流域が開発されて洪水流量がさらに増加したため,高い堤防が築かれるようになりました。一方,治水事業の進展に伴って氾濫原に多くの住宅が建てられ,人口が集中することになりました。したがって,河川で流すことのできる能力を超える洪水が起こる場合には,堤防が破壊されて昔よりも深刻な水害が起こることになります。
このような洪水に対して,洪水が堤防を越えても破壊されないような強固な堤防(スーパー堤防)を建設することが考えられていますが,これは金がかかるため大都市圏の一部の河川でしか実施されていません。また,洪水の氾濫に備えて,住宅の嵩上げや警戒避難体制の強化,洪水情報の周知徹底に努めることなどが進められています。さらに最近では,市街地および開発地における雨水の流出を抑制する対策,霞堤や越流堤を活用して遊水地に洪水を氾濫させる方法などにより,下流の市街地に到達する洪水流量を減少させ,総合的な安全性を追求する治水対策が進められようとしています。(災害観測実験センター・災害水象)

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質問
バーチャル・ウォーター(Virtual water)とは何ですか?

回答
直接水そのものを輸入した場合と違い,農作物や工業製品を輸入した場合には水そのものが輸出国から輸入国へ移動するわけではありません。しかし,農作物や工業製品などを作るために生産国では水や様々な資源・エネルギーを消費しています。このように製品やサービスの輸出入を通した水の輸出入を評価する指標として1999年にJ.Anthony Allenにより提案されたものがvirtual waterです.例えば,本研究所のライシメータという装置を用いた実験では,トウモロコシの実を1kg生産するために約3トンの水が消費されるという結果が得られています。さて,原油や鉱物資源は他国から輸入して生産活動を行うことができますが,水を他国から輸入することは難しいのです。とりわけ農作物が輸出の中心である途上国では,自国の水資源を優先的に生産活動に投入するために,無秩序な水資源開発や自国民のための水資源の浪費を引き起こす可能性さえあります.このため輸入国にとっても持続的な農作物の輸入のために生産国の水資源の問題解決に貢献する必要があります。(水資源研究センター・都市地域水文循環)

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質問
地下ダムとはどのようなものですか?

回答
ライシメータとは日本語では浸漏計と呼ばれるもので,精密な天秤ばかりの上に土砂を充填した金属製やコンクリート製の大きな箱を置き,その重量変動を計測することで,水の蒸発散量や浸透量などを測定する装置です.この装置を用いて,降雨が地中に浸透する量を計測したり,地表から蒸発する水分量を計測することができます.この装置を利用して植物が生長する過程で消費される水や肥料の量を計測する実験を行った結果,トウモロコシの実を1kg生産するために約3トンの水と約100gの窒素,約20gのリン,約60gのカリウムが消費されることを明らかになりました.(水資源研究センター・都市地域水文循環)

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質問
ライシメータとはなんですか?

回答
研究所では,いろいろな実験が行われていますが,ここでは都市域での水害に関する実験を例に挙げて説明します. 私たちが生活している都市には様々な構造物、例えばビルやマンション、道路や橋などが多く存在しています。このような複雑な状況を再現するための方法の1つとして,市街地の模型を作り,そこに水を流すことで水害を再現しています。  水害時の被害を決定づけるのは、氾濫水の流速や水深といったものです。まず流速の測り方ですが,一番簡単な方法は流れている水の水面にフロート(浮き)を浮かべ、ある一定の距離をフロートが移動するのに要した時間を測る方法です。しかしこの方法は人間が目で見て行うことから正確性には若干欠けているといえます。したがって,流速計などの測定機器や,ビデオなどの映像機器を用いて流速を測ります.次に水深の測り方ですが、物差し等で直接測る方法と,高さなどから求める間接法が使われます.間接法では,精密な計測機器を用いますが,その場合は,水面や水底の高さをセンサーの電気信号として取り出し,あらかじめ求めておいた電気信号と高さとの関係を使って実際の高さを求め,それらの値から水深を求めます.(災害観測実験センター・災害水象)

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質問
都市で起こる水害にはどのようなものがあり,どのような特徴がありますか?

回答
山地部で降った雨は地表面を伝って河川へと流れるものとともに,地面にしみ込み,次第に河川へと流出するものもあります.それに対して,都市化が進むと,地表面が舗装されることで地面にしみ込みにくくなり,急激に流出するようになります.都市域では雨水は側溝等を通って直接河川に流出したり,下水処理場で生活排水とともに下水処理を受けた後に河川へ流出したりしますが,堤内地の降雨の規模によっては,下水道やポンプの排水能力などにより雨水排水の制約を受けることがあります.そのため,急激に流出した水を河川に排水しきれなくなり,氾濫します.これを内水氾濫といいます.一方,河川の堤防が決壊して市街地が氾濫することを外水氾濫といいます.堤防が大きくなるにつれて,住宅地等が堤防の近くまで造成されていますが,堤防の近くにあるために,ひとたび決壊したときの被害は非常に大きなものとなることが予想されます.これらの氾濫水は市街地に拡がり,また,地下空間へと流入し,都市機能を麻痺させます.特に,地下空間に流入した場合はポンプ排水が困難であるため,被害が大きく,長引く傾向にあります。(都市耐水分野)

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質問
雨を避けるために地下街を歩くことがあります.地下街は安全ですか?

回答
危険になる場合もあります.氾濫水が地下空間に流入すると避難が非常に困難となるからです.例えば,(1)水の流入経路は階段や地下駐車場へのスロープ等,人間の出入りする箇所が中心であるため,避難の際には流入する水に逆らうような行動をとらなければならない.(2)水圧により扉が開かなくなる.(3)地上の状況がわからないために危険に気付くのが遅れる.(4)電気系統の故障により停電が生じ,それにより,心理的パニックになる.などの理由が挙げられます.しかし,日常的な雨でこのような浸水被害が生じるというわけではありません.地上の状況(強い雨か普通の雨か)に気を配り,浸水を発見したらすぐに地上に避難する,というように地下空間は危険な場所である,という認識を持ちながら地下街をうまく利用しましょう.(都市耐水分野)

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質問
家の近くに川幅が3m位でコンクリート3面張りの小さな川があり,普段はほとんど水が流れていません.このような川にも危険があるのですか?

回答
危険になる場合もあります.都市域の河川には溝と見間違えそうな程の小規模なものも存在します.そのような河川は,普段はわずかな流量しか流れておらず,中にはほとんど干上がったような,河川と認識することすら困難なものもあります.しかし,そのような小河川でも,豪雨時には水位が急激に上昇し,溢水の可能性も十分に考えられます.これは河川の上流部で起こる,いわゆる鉄砲水((流量,水位が急激に上昇する水の流れ)という現象に似ています.また,一般に川幅の狭い河川ほど水位上昇が急激である傾向にあります.鉄砲水による水難事故がしばしば起こっているように,都市域の小河川も同様に危険です.雨が降ったときは河川内に立ち入らないようにしましょう.(都市耐水分野)

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質問
2000年9月に発生した東海豪雨のような集中豪雨は予測できるのでしょうか?

回答
集中豪雨のはっきりとした定義は決められていませんが、狭い土地にわずかの時間に多量の雨が降ることをさし、短時間に発生発達するため予測を行うことが難しく、現在も予測精度を上げる研究が盛んに行われている段階です。 現在気象庁が行っている降雨予測は大別すると二つの方法に分類することができます. 一つ目は,数時間前から現在までの降雨域の動きを観測して、その後も降雨域が同じように動くと仮定して予測する降水短期予報とよばれる方法です.二つ目は,大気の動きをプログラムで表現した数値予報モデルを用いて予測する方法です.
降水短期予報は一時間程度の短時間の予測に適しています.一方,数値予報モデルを用いた予報はたとえば明日の天気がどうなるかというようなある程度先の予報に適しているという特徴があります.しかし、集中豪雨を予測して被害を小さくする対策をとるためには、その二つの方法のちょうど間、数時間先の予測が必要になります.どちらの方法もその数時間先の時間帯では予測精度が落ちると言われています.(図1)
現在,その谷間になっている時間帯の予測精度を高めるため,様々な研究が行われています.例えば,雲ができて雨が降る過程をより詳しく表現するとともにより詳細な地形を考慮することによって、より短時間で狭い地域で起こる気象現象を予測できるようにした数値予報モデルの開発が行われ、気象庁の予報にも導入されつつあります.また、降雨レーダーのような集中豪雨を観測できるくらい解像度の高いデータをいかに数値予報モデルによる予測に取り入れるかということも研究されています.(水資源研究センター・地球規模水文循環)

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質問
ダムは下流の河川の環境に対してどのような影響を及ぼしますか?

回答
ダムの環境影響は社会的にも注目されており,下流河川への影響を明らかにすることも重要な課題です.一般には,ダムは下流河川に対して,ダム建設前後の濁水や流量減少,ダム運用後の土砂供給量の激減,流量・水質の変化などをもたらします.流量減少の影響は発電ダムや利水ダムなどで取水量が多いと深刻になります.また,ダムによる土砂供給量の減少は,河床低下や粗粒化などの物理的変化を起こし,河川地形に影響します.その結果,河原の減少や河川敷の樹林化などが起こります.いっぽうダム湖で植物プランクトンが増えると下流の水質が富栄養化することもあります.これらの河川環境の変化によって,河川の生物相も大きく変化します.例えば,底生動物に着目した研究では,底生動物の種多様性が減少する一方で特定の種が極端に増加することが知られています。
このような状況を改善するため,様々な対策が検討されています。例えば,人為的に流量をコントロールすることにより,河川環境を改善しようとする試みが行われています。しかし,河川環境の保全のためには,どの季節に,どのくらいの規模や頻度の流量制御するのかやどのくらいの土砂供給をすればよいかについては不明であるのが現状です。これらの疑問に答えるため,私たちは河川環境や生物相の調査および実験を行っています。(水資源研究センター・地球規模水文循環)

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質問
実際にダムではどのように洪水を軽減しているのですか?

回答
洪水の危険性が無い場合、通常ダムの水位は高く設定されています。これは、利水のためには、できる限り多くの水を確保しておくことが望ましいからです。しかし台風や豪雨時にダムの水位が高い状態で臨むと、流入してくる水の量がダムの放水能力を超えた場合に、ダムがあふれてしまう可能性があります。そこで、洪水の危険性が予測される場合には、あらかじめ放水を行ってダムの水位を下げ、放水能力を超える水が流入してもあふれないようなスペースを確保します。流入してくる水の一部を確保したスペースに貯めることで、放水する水量のピークを減らすことができます。こうした一連の操作により、ダムは下流へ流れる水のピーク量を小さくする、いわばクッションのような機能を果たしています。(水資源研究センター・地域水利用システム計画)

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質問
環境ホルモン等による水質汚染はどの程度広がっているのでしょうか?

回答
さまざまな汚染物質によって、水質は確実に日々悪化しています。近年話題になっている環境ホルモンについては、環境省の調査により日本の多くの河川で検出されており、また環境ホルモンが原因と考えられる魚類への影響も報告されています。化学物質は個々の物質によって性質が異なり、また魚類とヒトでは生理機構が異なるため、魚類と同様の影響がヒトにも現れるとは限りませんが、現在、危険度の高い物質から順にリスク評価が進められています。
水質汚染は、排出源を抱えた閉鎖性の強い水域において特に注意が必要で、様々な地点における水質調査が行われており、またモデル化による水質の予測などの試みがなされています。今後、魚介類の摂取制限が行われるようなことにならないように、排出量の抑制や水質浄化の努力を続けていく必要があります。(水資源研究センター・地域水利用システム計画)

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質問
ダムはこれ以上必要あるのですか?

回答
ダム不要論が唱えられ,また堰や干拓事業といった水資源設備においても開発をとりまいて住民と行政の対立の構図がしばしば見受けられます。日本は急峻な山ろくが多いという地形的特性上、どうしてもダムや堰の使用は避けられません。日常において水に関するトラブルがないと、我々は水に対するありがたみを忘れてしまいがちです。身の回りの地域において水不足の問題がなくても、同じ河川から取水する下流の地域では渇水の危険があったり、逆に洪水の危険にさらされたりしているということもあります。河川管理は開発される地域だけではなく、流域全体を見て行っていかなければなりません。地域の水需給の状況や、経済状態、将来の地域社会としての展望といったものを含めて水資源計画を行っていく必要があります。ダムが必要であるかどうかは、地域の現状と将来像を考慮しながら、行政と住民が決定していくことなのです。今後、このような水資源計画に対して流域全体での合意を作り上げていくことが益々重要になってくるでしょう。合意形成のための支援システムに関する研究も防災研究所では行っております。(自然社会環境防災分野)

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質問
2000年には東海で豪雨による洪水があり、2002年にはドイツを中心にエルベ川の洪水が起こりましたが、整備のされている先進国で、なぜあれほど被害の大きな洪水災害が起こるのですか?

回答
両方の洪水とも、豪雨が一番の原因でした。豪雨や地震といった自然災害の発生は完全に予知できるものではありません。小さな確率であっても、大規模災害の発生は常に存在します。しかし、そのような災害を完全に防ごうとするならば、多大な設備が必要となります。設備の建設には多くの資金が必要となり、また、過剰な建設は環境破壊を招く原因ともなります。このように、設備に頼る防災には限度があります。設備(ハード)だけではなく、人々の活動(ソフト)と合わせて減災を行っていくことが望ましい災害対策であると考えます。実際、東海の洪水災害も、エルベ川の洪水災害も、設備の老朽化や、警報・監視・情報システムの整備不足といった長期的な洪水対策計画に問題があったことも、被害を大きくした原因であると考えられています。日本においては、現在、このような視点からの減災計画が各地方自治に浸透しつつあり、整備をくり返しながら、正確ですばやい情報提供を行えるシステムの開発を進めています。一部の自治体では災害が発生した際の被害状況を予想したハザードマップというものを公開しています。しかし、ハザードマップや災害情報を入手し、減災のために取り組むのは住民の方々自身であるということを忘れていはいけません。この点で、住民の方々の災害に対する認識を喚起することも災害対策としては欠かすことの出来ない要素であるといえます。防災研究所ではこのようなハード・ソフト両側面からの総合的な災害対策について研究を進めています。(自然社会環境防災分野)

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